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案内

 食事を終えたシンナを連れて、廊下を進んでいた。

 

 「ねぇどこに向かってるの?」


 「バーザレスさんから、ここでの基礎を教えることだけ任されてるけど」


 上を向きながら少し歩いてると何かをひらめいたのかポンと手を軽くたたく。

 

 「まずはここに住むんだから、ここで迷子にならないように案内からしようか」


 「ここってそんなに広いの?」


 「まぁ、分け合ってみんなと食事や遊びができない子たちや生活リズムの違いでいない子達もいるから、さっき食堂にいた人数より多くいるからね」


 そんな話をしながら歩いていると蓮華が足を止める。

止めた足の先を見ると見たこともない色の違う布が入り口に掛かっている部屋が二つあった。


 「まず最初に紹介する場所は、お風呂だよ」


 その前に、と蓮華は中に入り少ししたら戻ってきた。


 「OK、中で作業してる子たちに入れるように許可もらったから入ろう」


 蓮華に言われるがまま入るが布をくぐって蓮華が急に足を止め振り返る。

シンナは、蓮華の胸に埋もれる。


 「あ、ごめんね急に止まったから」


 「別に大丈夫よ」 


 (柔らかくて弾力のある胸だったわ)


 「いい体験をしたわ」


 小声でつぶやく


 「えっとね、今掃除中だからまだお風呂には入れないけど、中にいる子たちの紹介もかねて中を見てみましょう」


 こくりとうなずき、扉の前に行く。


 「この扉、持つとろがないのだけれど、どうやって開けるの?」


 「あぁ、この扉はスライド式だよ」


 蓮華が扉を横に流すように開ける。


 「世間知らずのお嬢様だ」

 

 「むっつりな変態さんだ」


 「お馬鹿な少女だ」


 戸を開けた瞬間に三人の犬みたいな耳がある少女が3人目の前に現れた。


「あれ動かないよ?」


「石になった?」


「それとも死んだ?」


 笑いながらシンナの周りを囲い体をツンツンとする。


 「こらお前ら、新人をからかうな!」


 湯気の中から蓮華より少し背の高く、短い触覚みたいなものが生えてる影が揺らめく。


 「すまないな新人ちゃん、こいつらは人をからかうのが好きでね」


 「からかってないもん」


 「真実だもん」


 「入り口の前で話してたもん」


 三人はいきっぴたりに合わせ湯気の中から出てきた背の高い女性に反抗する。


 「また盗み聞ぎしてたな」


 呆れて言葉も出ないようだった。


 「ラズ、自己紹介をお願いできるかしら?三人も一緒に」


 蓮華が促すと、ラズと呼ばれる女性と三人がシンナの前に並ぶ。


 「自己紹介遅くれてすまない、私はラズで、このちび三人が」


 「フェンだよ」


 「ルノだよ」


 「リルだよ」 

 

 「「「三人合わせてケルベロス!」」」


 三人はいきっぴたりに決めポーズまでしていた。

 その場が固まる。


 「ケルベロス知らない?」


 「神話のでかい犬」


 「首が三つある犬」

 

 「「「知らないの?」」」


 またも息ぴったりに言葉を合わせる。

 

 「ごめんなさい、存じ上げてはいますけど」


 三人の後ろにいたラズが怒りの表情をあらわに三人に手をかける。


 「お前らさっきから掃除をせずに三人集まってさぼってると思ったら、そんなくだらないこと練習していたのか」


 三人は後ろを恐る恐る振り返る。

 ラズは笑顔だった。


 「これガチギレのやつだね」


 「どうする?」


 「逃げた方がいい奴だね」


 と言うと三人は入り口の外へと駆け出していた。

 ラズは追いかける事をせず入り口で呆れた様子で外を見ていた。


 「ラズ、仕事は終わってるの?」


 シンナの横から優しく心配する言葉に怒りが物凄く混じった声音がする。


 シンナとラズが蓮華の顔を窺うと、先程のラズより怖い顔をしていた。


 「いや、その、えーと」


 ラズは、言葉に詰まる。


 「はやく作業の方を終わらせて下さいね、みんな待ってますよ」


 笑顔で威圧されたラズは、すぐさま掃除に戻る。


 「あの子たちも後で説教しないといけませんね」 


 蓮華を先頭にお風呂を出る。


 後ろの曲がり角から三人がこちらを覗いていた。


「さて、次はあなたの部屋でも行きましょうか」


 蓮華は気づかず前を進む。

 シンナは後ろをついていくが、少し止まり振り返る。


 「また後で」


 手を小さく振り小声でつぶやく。

 三人は笑顔で手を振り返す。


 「どうしたのシンナ?」


 「いや、なんでもないわ」


 小走りで蓮華の隣につく。

 

 少し歩くと沢山の扉が並ぶ廊下につく。


 「これ、全部ここにいる人の部屋なの?」


 「そうだよ、部屋は基本同じ作りになってるけど、そこに入る子によっては少し改良してるよ」


 目を疑う光景に言葉が出ない。

  

 (こんな数の部屋があるなんて、私が住んでいた家よりもでかいじゃない)


 蓮華は驚き固まるシンナの手を引かれ廊下を進む。


 一番奥までくると右側の扉を開けて入る。

 意外にも部屋は広く、二段ベットに、タンスに鏡、化粧台、他にも色々と準備されていた。


 「ここが今日から貴方の部屋、と言っても一人部屋じゃないけど大丈夫?」


 「えぇ、大丈夫よ」


 「ちょっと待ってて、ここの子連れてくるから」


 蓮華は部屋を出ると駆け足で、探しに行く。


 シンナは一人部屋に取り残され部屋を見渡し、タンスが気になり中を確認しようと下から順に開けていく。


 下二段は使われてなく何も入っていなかった。

 

 「服をあまり持たない子なのかしら?」


 最後に一番上の段を開ける。


 「何してるの?」


 後ろの扉から女の子の声がした。

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