幼馴染み
短いです。
学校に到着、雪菜とともに車を降りる。
「おはようごさいます。宝城様」
「「おはようごさいます」」
「ああ、おはよう」
降りたとき一番近くに居た生徒の一人が頭を下げ挨拶をすると、周りに居た生徒が此方を向き一斉に私に挨拶をする。
「宝城様のお鞄をお持ちします。」
「いや、遠慮しとくよ。ここで立ち止まっていたら通行の妨げになる私の事は気にするな。」
「はい、失礼します。」
私の一言により、立ち止まっていた生徒達が一斉に動きだし、鞄を持とうとした生徒も校舎へ向かって行だす。
因に鞄を持とうと言い出した生徒は確か一個下の後輩……名前は確か高根由梨愛さん私からすれば只の名前を知っているだけの後輩でしかないが、彼女からすれば私はなにがなんでも、お近づきになっておきたい重要人物だなんだろう。
「毎日朝大変だよね。夏姫ちゃん私西城君のところいってくる!!送ってくれてありがとう」
「あ、ああ……はぁ」
小走りで彼氏西城の居るであろうグラウンドへ駆け出し、小さくなる雪菜の背中を見送りながら息をするように自然に溜め息を溢しつつ、教室へ一人向かう。
ああ、昨日の朝までは私の横には雪菜が歩いていたのに、これから、いったいどのくらい雪菜と、ともにいられるだろうか……
「よう、夏姫! 雪菜となにかあったか? 雪菜好きのお前が雪菜をそばに置いとかないとか、明日槍でも降るのか?」
教室に入り席について窓際の席から外の景色を眺めていた私に教室に、ニヤリと笑み浮かべた女子生徒がずかずか歩いて私の目の前に立ち止まる。
「彩華……朝からなんのようかな?」
私の前に八重歯をむき不適な笑みを浮かべ立ちはだかる高嶋財閥の御令嬢、高嶋彩華。
知り合ったのは幼少の頃を父と母に連れられ出席したパーティー会場で出合い、仲良くなった幼馴染みでもある。
因に彩華には女性でありながら同性同年代の幼馴染み兼彼女がいる。
失恋した私からしたら妬ましく羨ましいと思えるリア充だ勝ち組だ。
「おい、おい、せっかく幼馴染みの私が慰めに来たんだぞ少しは喜べよ。いつもなら杏といちゃラブ時間を落ち込んでいるであろう夏姫のためにわざわざ時間をさいて慰めに来てやったんだぞ!」
財閥の御令嬢とは思えないあらい言葉づかい……いや、私も人のことは言えなくもないか。注意すると、ブーメランだろう。
「なにかな?煽りに来たのかな?喧嘩売りにきたのかな?今なら爆買いしてもいい気分だよ。」
「よせよ。今日帰り雪菜とじゃないんだろ放課後付き合えよ。伝えたからなじゃあ、放課後な。」
それだけに私に伝え私の返事など聞かず、教室を出ていった。
雪菜は朝のホームルームが始まる3分前に幸せそうな表情を浮かべ彼氏の西城とともに教室に来た。