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この、手にできぬものを私は掴みたい  作者: やいよるこい
13/25

遠野雪菜 小前

短いです!!

  卒園式、私は幼稚園を卒業した。

 次に私が通うことになるのは、家から近くに達小学校だった。

  不安だったけど、夏姫ちゃんが一緒ならとそう思っていた。

  だけど、私はお父さんとお母さんの話をこっそり聞きその一言が耳に残っていた。無性に不安に襲われた。


  「宝城家だ、雪菜とは学校が別々になるだろう。」

 

  えっ……と思い頭のなかが真っ白になった事を今でも当時のように思い出す。

  その時、すぐにでも夏姫ちゃんに会いたいと思ったけれどよくよく、考えれば私は夏姫ちゃんの事をあまり知らないことに気が付いた。

  家の場所も知らない。夏姫ちゃんの両親も卒園式で見なかった。なぜ、お父さんとお母さんが夏姫ちゃんにたいして腰が低いのかもわからなかった。

  そう、思い私に知らなさすぎて衝撃をうけた。


 二人の会話からもしかしたら、もう会えないのかと思うと悲しくなった、寂しくなった。

  多分私は、二人の会話を聞いてから笑わなくなっていた。

  二人は私を心配そうに見つつも夏姫ちゃんの居ない学校の入学式に私の手を引いてつれていった。

 

  私は下を向きながらも、並ぶように列に入れられた。

  入学式が始まる入学式したら、夏姫ちゃんの居ない学校生活が始まってしまう。

  そう、思うとここから逃げたしたくなった。

 列から外れる逃げ出す。がすぐさま何者かに腕をつかまれ抱き寄せられた。

  すぐに、安心する香りが鼻をとおる。

 

  「こら、どこにいこうとしていたの雪菜、入学式始まるよ?折角私が無理を言って雪菜と通おうとこの学校に方のに~」

 

  「えっ?夏、姫ちゃん??」


 居ないと思っていた。でも、私の目の前に輝く笑顔に、優しい瞳をした、夏姫ちゃんがいる。

 

  「そうですよ~夏姫ちゃんですよ~しばらく会わなかっただけで親友の顔を忘れちゃったのかなぁ~うりうり」

 

  笑いながら私の頬に手を添えぐにぐに弄られる。夏姫ちゃんの手気持ちいい……


  幸せに浸る。今が幸せ。ひさしぶりの幸せ。


  「おー、この子が夏姫の言っていた雪菜って子か?」

  「ん?あっ彩華……何で一般学校いるわけ?あんた、高嶋家の御令嬢じゃないお嬢様学校にしときなさいよ?」

  「おーおー、見事なブーメランってやつだな!!お前こそ宝城家御令嬢じゃないか……それに、私が通う理由は杏だ。前に紹介したろ」

  「ああ、なるほどね。彼女は一般家庭の子だったんだ。」

  「お前も、私と似たような理由なんだろう、仲良くしような!!」

  「まあ、腐れ縁程度にはなってもいいよ。」

  「おう、んじゃ列に戻るわ」


 私は夏姫ちゃんの反応を見て、話しかけてきた子が私の知らない夏姫ちゃんの仲のいい人だと感じ取り、いまだに頬をぐにぐにされながらも、黙って見守ることにした。

  いくつか、気になったことはあれど、まだ小さい私は理解していなかった。

  成長すればあの日の会話で夏姫ちゃんはお金持ちの家の御令嬢だと理解できたはずだった。が、頬に感じられる夏姫ちゃんの手の感触に集中し他の考えができなかった。

 

  「だいぶ、表情がよくなったね」


 そういい、幸せの時間が終わった。


  「ふふ、雪菜寂しそうな表情をしてぇ可愛いなぁ~」

 

  私を見て、夏姫ちゃんの頬がさらにゆるみ頭をよしよしされる。

 

  「雪菜、一緒のクラスだからね。これからもよろしくね?」

  「うん!!」


 夏姫ちゃんがいることに幸せを感じ、入学式は無事終わった。

 

まだ、次回も雪菜回です!次回もよろしくお願いします!

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