第三話 イーリス観光
いきなり住まないか?
と言われ困惑しているのを見てアミードさんが
「大丈夫、その能力があれば兵士でも店屋でも使いこなせば生計を立てれると思うわ」
と補足してくれた。
そいうえば、生計を立てるといってもこの町のことが全く分からない
。
「アミードさん、そうしたいんですがこの町のことが全く分からないのですが」
と聞くと
「じゃあ、体がよくなったら案内してあげますよ。あと、私はアミでいいですよ」
と言ってくれた。
そうすると緊張の糸が切れたのかだんだん眠たくなってきた。
「市長さん、アミさんありがとうこざいまs…」そのまま眠ってしまった。
それから数週間寝て起きてはご飯を食べまた寝るような生活を送っていた。そして、体の痛みもなくなってきたある日僕はアミさんの案内で市内を案内してもらっていた。
まず、僕がいるのは手芸を主な産業とする“イーリス”という町らしい。
そして、アミさんの診療所がある住宅街は町の東南に位置する”マリクル“という町との共有の住宅地となっているらしい。
また、東北には王都があるため兵士さんや騎士団が宿泊する施設も多くあるという。
「ここが、グラスさんの工場よ」
そう紹介された建物は工場が立ち並ぶ区画にあり、町の中心に位置する場所にあるどこか懐かしさを感じるような小さな工房があった。入り口には『王都献上品製作者』と書かれた金色の板がかけられていた。
「あの、この金色の板って何なんですか?」
この金色がこの町の雰囲気にはあまりにもマッチしていなかったので尋ねると、
「ああ、これですか?この称号は、王家に工芸品などを献上している人に与えられる称号を示していただいたものよ。ちなみにこの工房と隣の3つの工房が指定されているわ」
と、誇らしげに教えてくれた。
そして、兵士さんたちが宿泊する施設や周りの町の中で唯一この町に設置されている王都立商工会館、そして王都へつながる検問所を丸一日かけてみて回った。そして分かったことは、
・ここは、イーリスという町で手工芸が盛ん
・王都が近いので兵士さんがよく訪れる
・王都に物を献上している工房が多くある
ということだった。あ、あと隣の町の野菜は絶品だ。
「それで、どんなことをして働くか決まりそうですか?」
アミさんが心配そうに聞いてくる。そうだ、この町で自分で生きていかなければならないのだ。
町の観光を楽しむあまりすっかり忘れていた。
さてどうしようか…。結局その場では答えを出せない丞だった…