消える住人1
「んで、何しにきやがった?マインさんよ。」
「おや、付き合いの長い友人に対して、来た早々そんな連れない事を言うのかい?」
「…リブラ警察の刑事さんが、いったい何の御用でしょうかねぇ?」
誰がどう見ても歓迎してないんだが、この目の前の厚顔不遜な男には全く伝わっていないらしい。いや、伝わっているが、こたえていないのだ。
職業柄なのか、生来の気質なのかまったく肝の太い男である。こんな男の相手をなんで一人せにゃならんのか…
今さっきの修羅場というか愁嘆場というかを目撃されてしまったリアは自室に引っ込んでしまい、ジャンは復活しないので地下にぶち込んできた。
俺は基本的に毒とかに強いので、なんとか復帰して今に至る。
「いやね、最近なんでも殴られ屋なる職業が流行っているみたいだからさ。治安を守る心正しき刑事の私は、2,3回利用してみてから取り締まろうかなってねぇ…」
「知ってるか?その殴られ屋、刑事相手にはカウンターをお見舞いするサービスが付いてくるんだとさ、試してみろよ。」
「はは、それは怖い。やめておこうか、私も痛いのは嫌いだからね。」
「そら残念、ていうかいい加減そのどうでもいい話してからじゃないと本題に入れない癖をなんとかしてくれないかね?毎回付き合わされるこっちの身にもなってほしいんだが。」
付き合いが長いなんてこいつが言っていたが、確かに付き合いは5年ほどになる。
もめ事処理屋開業に際しては、それなりの援助もしてくれたし、依頼もそこそこの頻度で頼みに来る。
ただし、非常にやっかいな案件を持ち込むのが常であり、もめ事処理屋全職員が共通してこの男の襲来を嫌がるのである。
「数少ない楽しみを奪おうとするなんて、アルはひどいねぇ。まいっか、聞いてくれるというなら話そうじゃないか、本題をね。」
「どうぞ。」