神様の僕(しもべ)
―――――痛い……
救急車のサイレンの音が聞こえる……
皆がざわついている。
何が起こったのか分からない……
とにかく全身が痛い。ぼやける視界は多分皆の顔。
「――てっ……助かって……!!」
そんな声が聴こえた。僕は今どこで何をしているのだろうか。
ポタッ
僕の顔に水が落ちてきた。ぁあ……これってもしかして涙かな?
僕はそんなことを考えながら意識はだんだんと遠くなっていった。
「――っん……??」
気が付けばそこはどこかわからない世界。ここはどこ?
思い当たるのは救急車のサイレンが鳴っていたから病院かと思っていたけど。流石に何かが違う。
体の痛みも無いし。
その前に体が透けてる。
回りは雲だらけでよく見れば金色に輝いている。
……あれ、もしかして僕………………
「やぁ少年!元気かい?」
目の前に白髪のイケメンがいた。神々しく輝くその人は太陽のようだった。
そんな事を思っているとさらに光が増した。
眩しい……目が開けられない。
そんなことも知らず、イケメンは僕の顔をのぞき込んできた。
「あれ?どうしたの?もしかして僕が眩しすぎて見えないとか?」
いや、その通りですよ。何言ってるんだかこの人。
「まっ……眩しいです……。」
僕がそう言うとイケメンの光はだんだんと静まっていった。
「ごめんね!やっぱりそうだったか。神様ってことを凄く認識してもらいたくって!」
………………神様?
「あっ……あの。一つ質問いいですか?」
イケメンはキョトンとし「なぁに?」と言った。
「ここってどこですか?」
一瞬ポカンとしクスッとイケメンは笑う。
「ここは神の世界だよ?」
「は?」
誰もがおかしいと感じる。神の世界?そういえば神様とか……
神様?!
「君、下校途中トラックに轢かれたよね。信号無視したトラックの目の前に女の子が立ってて、その子助けるために。」
「――っ!」
思い出した。僕は幼なじみを助けるために……!
「やよ――……その女の子はどうなったんですか!?」
イケメンは真剣な顔つきで答えた。
「助かったよ。でも、今は君の死体の目の前でずっと泣いてる。それだけ、大切な人だったって事だね。」
「……あいつが助かったなら。僕は安心です。守れたんなら。」
僕は……弥生を守れたことがとても嬉しかった。例え僕が死んでも。
「救急車の中で君は息を引き取ったよ。大量出血でね。」
「そっ……そうなんですか。」
なんか沈黙がすごく走る。沈黙苦手。
「―――――っで!!君に提案をしに来たんだよ!」
「…………へっ?」
急だなこの人。しかもまだ僕ここが神様の世界とか信じてないけど。
「君さぁ、未練とかある?」
この人つくづく急だな。
「なっ……無いですけど。」
ぱぁっ!と顔を明るくしガッ!と腕をつかんできた。
「じゃあ!お願い!十二神になって!!??」
「はっ……はぃい???」
十二神って何だよ。謎だわ。大体ここの世界の事説明してからそんなこと言ってくれます?
「なっ……何ですかそれ……。なんか危ないやつですか?」
て言うか天国は……行けるの行けないの?
「のん!もちろん危ない事じゃ……いや……危ないか……?」
おっ……おうおうおう!そんなの無理だよ!危ないの嫌いだから!そもそもトラックに轢かれてんのに!そこんとこ大事にしようよ!
「とっ!とりあえず!契約してくれたら、説明はその後するからさ!お願い!あと一人なんだよぉ!」
泣きながら言ってくる、イケメン神様は体にすがりついてくる。
「わっ、わかりました!なんか分かんないけど!分かりましたから!とりあえず何すればいいんですか??!!」
ピタッと行動を止めてサッと立ち上がった。
「ありがとう。んじゃ僕の血飲んでくれる?」
「……………………血?」
血????
イケメン神様は刀をどこからか出し、腕を切った。
血が溢れ出す。その血を僕の口まで持ってこようとする。
「さぁ飲んで!」
「むっ……無理ですって!ちょっんんっはっ……んごごっ」
ごくり。
のっ……飲んじゃった。
すると、体が軽くなって、次第に生きていた時みたいに……!
その時、イケメン神様はとてもニッコリしていた。
「じゃあまた後で会おう!皆もいるから安心してね!」
「ちょっ……ちょっと待って!!!!」
手を伸ばすも届かず。イケメン神様は雲にまみれてどこかに行ってしまった。
その瞬間、僕の意識は無くなった。
「――――んんーっ……」
ペチペチとほっぺたを叩かれるような感覚がして目が覚める。
「おーい、起きろー。」
「いや、もう起きてるじゃん。君やっぱりおもしろいね。」
ケラケラと笑う、声が聞こえた。
「んんっー!痛い!!」
だんだんとほっぺたを叩いている強さが増してきた。とても痛い。
「「あ、起きた。」」
頬を手で撫でながら、うっすらと目を開ける。
そこには僕と同じくらいの年の男が3人いた。
「君も契約した人?だよね。」
ケラケラと笑っていたと思われる少年は、馴れ馴れしい口調で話しかけてきた。
「契約?あーうん。した。」
「あーあ……契約しちゃったんだ。契約するとね、あのイケメンの下僕になっちゃうんだよ。」
え?
「なっ!なにそれ聞いてない!」
僕の頬をビンタしていたと思われる少年が答えた。
「ったりめーだろ。そんなの最初に僕の下僕になるよーなんて言ったら、俺達も契約なんかしなかったよ。」
「げっ………………下僕……………………」
僕がうつむいていると、奥にもう1人碧眼の少年が喋った。
「僕達皆死んでるんだよね。死体を動かしている見たいだよね。神様なんて言うのは嘘なんじゃないかな。」
嘘……!そっそれはありうる……
「えっ、てかみんな死んでるの?」
「「「うん。」」」
マジかぁ……。
すると巨大な鏡が目の前にあり、今更気付いたかと皆につっこまれたが、その後に鏡からあのイケメン神様が出てきた。
「やぁーーほぅーー!みーんなげーんきぃ!?」
テンション高っ!
「君達!久しぶりだね!君はつい最近会ったけどね!」
そう言って僕の方に指を指してくる。
「あー、……はい。」
「まぁ君達を僕の僕にしたのはとある理由があるんだよ。」
その時、静寂がはしった。
「君達にはこれから、十二神になってもらうよ。」
………………………………えっ??
―――――そして、これから僕達の……十二神による壮大な物語が始まる………………!!!!