セオス、お姫様を不憫に思う
やっとヒロイン一人目の登場です、生まれたてで、容姿すらかけませんが。
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情報収集した日より、それから更に数ヶ月後の事。この日は、朝早くより国中がお祭り騒ぎであった。それは我が街も例外ではなく、早朝にもかかわらず、多くの者たちで溢れ返って賑わっている、教会でも祝福を告げる鐘をならしている、そんな状態であった。外がえらく賑やかだが、何があったのか? 街の人々の喧騒にそう思いつつ耳を傾けた。
何故か屋敷の中も、同じように喧騒に包まれ、外の住民達も浮かれた様子で表を歩き回り、神力を使い眼を凝らして遠くを見れば、街の北西の荒くれ者の中には、こんな朝より酒場でお酒を飲んでる者までいる始末<普段からかも?>。それでもそれを、誰も咎めることなくお祝いムードで、盛り上がり続けているのであった。ほかの地区でもそれ程ではないにしても露店などは賑わっている。なので、耳に神力を集め住民達の話を聞いてみると、
「いや~めでたい、王家にね~~」
「王都にある商家よりの魔道具通信によると・・・・」
「エスターレ城には、お祝いに駆けつけて媚びを売ろうとする貴族であふれてるそうよ」
他にも情報を交換し合う者達が、
「今おられる王子、王女も凄い優秀な方だそうなので、今回の方も」
「男のお子様かしら?女のお子様かしら?」
「賢王様に、新しいお子様が誕生されたとは、めでたい、めでたい」
「お姫様だそうですよ」
等々、色々な声が聞こえてきた。だが何より恐ろしい聞き捨てならない話しは、我が屋敷内の文官であるエルネストの、父上に報告している、
「王様よりの、急ぎの伝令用魔道具の通信により、無事お姫様が生れたとの事、女の子のお子様が生れれば、セオス様のお妃にと申されておりましたので、我が家にとってもめでたい限りですね」
笑顔で声を弾ませ王様よりの伝令を伝えている処だった。まぁそれを聞いた姉上の、
「どんなお子に育たれるか判らないお姫様なんて、うちのセオ君には駄目だから」
聞いた瞬間に駄目出ししている声が部屋に響いている。母上も相槌を打っているが、父上の、
「まぁ、賢王として有名な、今までの王子、王女も立派に育ててらっしゃるあの方が、そんな悪い子を育てられるとは思わないけどね」
今までの子供の例を挙げた判りやすい答えに、お祝いムードの周りと違い、我が家族様は思案ムードで過ごしているのだった。
う~~ん、話を纏めてみると、我が家に色々といつも便宜を図ってくださっている、賢王として有名<情報収集時、国民思いの良き王であるとのことを精霊より入手>なマテウス王に、新しい子供が出来て、それが何故か我の婚約者? になっているとの事。まぁ我が家族様は我の意思を優先してはくれそうだが。そう考えつつ話を聞き纏めて、そう考えれば生まれたばかりで、嫁ぎ先を決められているとは、なかなか不憫な姫様だなぁ。等々、本来王家の姫として得られる地位などが、生まれた時より嫁ぐことで、降爵が決まっている、それも出来たばかりの、男爵家などとは、いささか不憫を通りこして哀れですらありそうだ。他の王子、王女は王宮で今も生活を続けているとの事なので尚更であった。
賢王で有名なマテウス王が何故に生まれたばかりの、我が子の末姫に対し、この様な思い切った事を? 王家の他の家族は反対してはいないのかな? そう思い悩むが、人という者の心だけは、相対し話したこともなければ見たこともない状態では、幾ら神といえど見通せず、会える機会が、婚約者というならその内来るだろうから、その時にお姫様の気持ちを聞き、まぁ、王にその気持ちをなるべく優先させるよう伝える事位しか出来ることはないな。などと考えながらも、そういえば、永い時を過ごしてきたが、伴侶を得ることも、またなかった事だったなぁと、思い至り、この人としての身体にいる間に、伴侶を得る経験をもする事が出来るかもな等々、先々の事に思いを馳せ、フワフワ浮かぶ、あの日より絶えることなく訪ねてきてくれる精霊たちに、お姫様の事が何かわかったら、教えてくれと頼んでおくのだった。
まず一人目を登場させましたのでよろしくお願いします。