都での滞在ーその2-
続きなのですが・・・・^-^;
「率直にうかがっても?」
聞いて良いものかと思いつつも、聞いておかねばとも考えた王の言葉に、
「うむ? 構わないけど~何でしょう?」
何事かな? と考えつつ答えると、
「この時に、何故人種族に降臨されたのかお伺いしたく」
先の歴史を思い問う王に、笑いながら、
「理由は色々あるのだけど、まず時は賢王と言われる貴方の代が世界が一番安定していて問題が少ないので、アウラニース一柱でも悩んでいない。という理由と、人種族なのは不完全だから、かな?」
安心して欲しいと思えるように言う答えに、聞いていた王家の者達は首を捻りつつ、
「と言うと?」
理解が及ばず王が素直に聞き返す。それに問い返す形で、
「うむ? なんと説明するか・・王よ、貴方がもし望む物全て手に入れ、全てが思い通りになったとして、明日から何をする、何を望む? と聞かれた時何と答える?」
聞き返されたその問いに、王は、
「そ、それは、今だ王として国民全てを幸せにする事など、どこかに歪ができ不可能なので、考えも及びませんが、そうですね・・何を望むのでしょう?」
答えを持たない自分にも問いかけるように言うと、
「その明日へと繋げる希望や夢、と言うものは不完全な者のみが持つものなのだ。もし完全となれば・・・・」
我が言い掛ける言葉に、皆息をのみつつ、
「なれば・・・・?」
先を早くと促す様に聞き返すと、
「正直に言おう、人ならばやることが尽きれば精神がやられ死に絶え、もし我がそうなれば・・・・すべてが混沌の原初に戻り、全てがなくなる、と思う。なので、孤独に自我を潰されぬ様、神々という子供達や星々を創り、先というものを観る事にしたのだが」
過去を思い出し紡ぐ言葉を皆へと言うと、
「観て?」
今聞いたその話の先を聞こうと皆真剣に聞いて来る。なので、
「この星の人種族の不完全なるが故に先へ先へ、と希望をもち夢を描きつつ繋いでいく姿が斬新に思えて、我は逆に不完全を目指したくなって。そうなれたら、何が出来るのであろうと考えると楽しくなってね、神々に留守を任せこの星に来てしまったのだよ」
照れ笑いを浮かべつつ言い放ち続けて、
「他にも色々あって、まず我は原初に在りしものだったので、名がなかったんだ。なので誰からも個として呼ばれたことがなかった。いつも全を指す者だった。なので子供達には呼び名を付けてあげたのだが、その子達は死ぬ事の無い我に付く名を怖くてつけてはくれなくてね。なにせ気に入らないのを付けてしまったら、死ぬ事の無い父神がその名を名乗り続けなくてはならなくなると考えれば、自分達も苦しいだろうしね。なので、この星の一人となり名を貰おうかととも思い・・・・他にもこの星を観ていた時の知り合いになった者にも、この星の者として会ってみたくもあったし、なにより・・・・」
思いを込め皆を見渡しつつ笑顔で、
「完全を創り出し、支配して過ごすより、不完全に身を置き、皆と先を見ながら進む事の方が面白く思えたから、かな」
理由となる話を締めくくると、聞いていた王家の者達は、
「完全になるものにも、悩みが出るのですか?」
聞いた事で疑問に思えることをと訊ねてみると、
「ふむ? そうだね~、自我を消して完全であったら悩まない代わりに、何もない我だけの点という世界だったのでしょうが、悩んだからこそ、命あふれる世界が出来て、希望や夢が生れたんだろうね。なので、その時点から完全を止めていたのかもしれませんね」
それが始まりかも、と答えて笑い返すのだった。そんな王との会話を聞いていた者達も会話に加わり出した。
「セオス様は報告では母であるセリナ様の肌をくすみ一つない状態になされたとか? 私の伯爵家の時代のこの傷も癒せるでしょうか?」
王妃が普段は誰にも見せぬ腕の傷を見せてきたので、エルネストが報告したのかな? などと考えつつも、今まで我が家族に目を掛けてくれた恩返しにと、歩み寄り手を添え、
「神癒」
周りに聞こえぬ小声でそう呟き、母上同様傷のみでなく、くすみまで完全に消すと、
「ま、まぁ、素晴らしいですわ。マテウス見てください」
王に向けはしゃいだ様子で話しかける王妃に、
「あ~、ソフィアよ、即位前の儂をかばいついた傷、それが癒えた事は共に至上の喜びであるが、子供達の前だ、後に」
王妃へと優しく言葉を掛ける。それでやっと周りの状況に気づいたかの如く、
「ご、ごめんなさいね」
謝りつつ顔を紅く染め俯くのだった。そんな普段は絶対に見れぬ王妃の様子を見た子供達は驚きつつも、まずは王子が、
「セオス様? でいいのかな」
王の真似をして話し掛けてきたのに対し、
「大人達は色々あるのだろうけど、年下の我に子供同士で気遣いは無用ですよ、王子。セオスでいいです」
普通でいいと答えると、顔をほころばせ、
「では、私の事もエウリスと呼んでくれ、セオス」
お返しとばかりに言ってくる。なので、
「判った、エウリス」
言葉の掛け合いにそう返事をしていると、横から、
「わ、私も、アンジェリカ、とお呼びください」
会話の仲間にと姉の王女もそう言ってきたので、
「はい、アンジェリカ」
言われた通り笑顔で名を呼びかけると、顔を真っ赤にしつつ、
「はう~~」
王女は言葉にならない言葉を言って俯いてしまうのだった。そして、最初から俯いたまま、まだ一言もしゃべっていなかった、末の王女もやっと口を開き、
「マ、マリカです。お初にお目にかかります」
丁寧に挨拶してきたので、こちらも、
「初めまして、マリカ。よろしくお願いしますね」
出来得る限りの笑顔で許嫁と聞かされている少女に、そう話し掛けると、
「こちらこそ、これから末永く宜しくお願いします」
決死の覚悟を決めたかのように今にも倒れそうな位、真っ赤になりながら、返事をしてくるのだった。
会話だけで、まだ続きそうです;-;




