女神、兄、姉を恐れる
女神様側のお話です。
女神アウラニースは思い悩む・・・・
兄や姉の意見をどうすべきでしょう・・・・父様には怒られそうですが・・どうすれば丸く収まるのでしょうか? 答えのない問いを解こうと必死に考えるのだった。
始まりの父なる神により、世界と私たち兄弟姉妹が創造されてのち、星々をそれぞれに一つずつ渡され、好きなように育てよと言われ、皆喜んでもらおうと、こぞって思い思いの創星にはげみ、ある一柱の神は霊的因子の天使族を創り星に住まわせ他の神も、悪魔族を、植物生物を、鉱石生物を、精霊を、竜族を、鬼族を、・・・・と色々ではあるけれど、その星々は神々らしく綺麗に統一された種族により、統治発展されていってたのですが、末の妹神である私は良い案など浮かばずうろたえるばかりの日々、さすがにそれではいけないと兄や姉の真似をして、天使を創ったり悪魔を創ったり、と少数ずつ色々な生を星に取り込んでいたら、なんか統一感のない、雑多な星になってきて、他の姉妹からも大丈夫? などと声を掛けられだす始末。あぁやっぱりやり直すべきかなと、思っていると、笑顔の父神がやって来て、
「アウラニース、面白い星が出来てるようだな」
星を観ながら楽し気に声を掛けてもらえたのだ。嬉しさ半面、どこがいいのだろう? という思い半面の微妙な面持ちで父神を見つめていると、・・・・
「みてごらん、色々な物が混じっているおかげで、ほら、また新しい種がうまれた。自分たちが創造していない物が生れてくるなんて、面白いだろ」
様子を二人で見つつ生れてきた新しい命を見つけると、そう言ってもらえ、この星はこの時より、わたしの自慢の宝物になったのです。なので大切に育てていこうと心に誓うのでした。
父神も結構気に入ってくれたのか頻繁に見に来てくれる様になったので、二人してここは、ああでもない、こうでもない、と話し合いながら創星を楽しく進めていっていたのですが、ある時、この星に私たちに似た姿の種が誕生しました。なので驚きをもって父神と二人眺めていると、神々とは違い不完全さが際立つみたいで、今、助け合っているかと思えば次の瞬間争い事を起こしていたり、なにより短命なので個人個人では何も発展していけないような、そんな種なのです。姿が似ている分、余計に心配してしまい、たま~~に、おせっかいな声を父様と二人、掛けたりしてしまいましたが、どうなっていくのだろう? という期待だけは何故か残るので、眺め続けていると、突然・・・・・・・・・・・・・・
「うむ、よ~~し、この星の中に、しばらく行ってくることにしよう」
思いもしていない突拍子もないことを、父神が言い出したので、
「私の星に、父様がですか?」
疑問を口にし聞き直すと、笑顔で、
「うむ、その者たちの一つの生の時間分位、行ってくることにする。いま眺めててこの家族となら、と思えるものたちを、この種ではじめて見付けたのでね」
今だ星の中の一点を見つめながらそう言われ、
「種族で初めてですか?」
改めて考えを聞き返すと、
「個人ではいたかもしれないが、家族単位全部と付き合おうと思えるとなると初めてだな」
笑顔でそう答えてくれて、尚も、
「君ら子供たちが私にしてくれているような孝行の真似事をしてくるよ。私の手で手伝いをしてくるので、よほど困った時以外は手出しはいらないからな」
先手を打つかのようにそう告げると、
「ちょっと皆の所へ行き、他の子供達にも伝えてくる」
善は急げとばかりにその場を離れられ他の者達の元へと行かれるのでした。呆然となりながらも、私の星を気に入ってくれた父神に嬉しさを隠せず顔をほころばせ自慢の星を眺めていると、他の神たちより話がある、との事なので、
「あの~、何でしょうか?」
良い話ではないみたいと、相手の表情を見つつ恐る恐る訊ねると、話の内容はこうでした。
父様が転生して訪れる予定の家族と生活環境を聞いてみると、食うや食わずの貧しい農村、という事。その家族の手伝いをすることには、孝行の真似事をしたい、という言葉から反論はできないが創造神であり、豊饒と繁栄を司りし父神が食に困るというのは見過ごせないので、手を打て。という事でした。で、父神がこちらにいる時に手を打てば気付かれるので、むこうの世界に中和する為、母のお腹に入った時に行動するように、との念までおされて・・・・
う~~ん、兄、姉の言葉も気持ちもわかるのですが、あう~、父様に私が後で何と言われるかと思うと・・・・う~~ん、どうしましょう。・・・・・・うろたえつつも色々と考えてみて、さんざん思い悩み、最終的にはやさしい父神にゆるしてもらうことにし、怖~~い兄、姉の言うことを聞いてしまうアウラニースなのでした。
これであらかたプロローグは終わりかな?というところです。ここまでおつきあい、ありがとうございます。