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両親、驚愕の話を聞く

転生して神が生れ出でるちょっと前の家族のおはなし。

 ある田舎の一軒の家で、一日の仕事をおえた男が帰宅し、今期の収穫を持ち帰るのだが・・・・


「すまん・・・・、今度こそまともに家族に食糧を渡せると思っていたのだが・・・・」


 落ち込んだ顔で、その家族の父親カインが話すと、


「いいのですよ、あなた。隣のキーヤさんが狩りで大怪我をしたのは、聞きましたので、その家族の為、うちのを少しまわすのでしょう?」


 理由が判っているので、残念がる事もせず、母親のセリナが普通に返事をかえすと、


「パパもママも頑張ってるんだもん、食事の量が少し少ない位我慢できるよ」


 何でもない事の様に、その家族の娘のアイシャも答えるのだった。


「二人とも・・・・セリナもアイシャもありがとう」


 思わず口から出たカインの言葉に、セリナも、


「はいはい、食事にしましょう、贅沢しなければ、いままで通りには食べていけるのですから」

 

 湿っぽいのは終わりとばかりに、笑って答えると、アイシャも、


「村の人達もパパは凄い頼りになる男だって,いつもほめてくれるんで自慢なんだもん、気にしなくていいよ~」


 心から気にしていないとばかりに、こちらも笑って答えるのだった。

 村の青年団の団長という確かな役職な訳ではないのだが、まとめ役みたいな感じのことをしているカインは、困っている仲間がいると、手を差し伸べずにはいられず、下手をすればその困ってる者より、貧しくなる月が有る位の、そんな性格の若者だった。村の者たちも心配はするものの、実際に困っているときに差し伸べられた手を断ることも出来ず、ついつい甘えてしまう、そんな生活の繰り返しであったのだったが、しかし、良き妻、よき娘に恵まれ、家庭的には円満な日々を送っていたのだった。

 そんな家族団欒を過ごしていると、突然、村が騒がしくなり、続いて家の前が騒がしくなると、家のドアを叩く音が聞こえた。


「誰がきたのかしら?」


 こんな時間に誰が? と考えつつ、そう問いかける妻のセリナの言葉を聞きながら、


「見てくるよ」


 カインが立ち上がり、ドアに向かい歩き出す。すると表より


「アーカイド村のカイン様の家はこちらでしょうか?」


 聞きなれない上品な言葉使いの紳士の様な声が聞こえてくるので、


「はい、そうですが」


 返事の声を掛けながらドアを開くと、そこにはイメージ通りの紳士が立っていた。それだけでもこの村には似つかわしくないのに、その紳士の後ろには二頭立ての立派な馬車が鎮座していた。


 これは・・・・村が騒がしくなるはずだ・・・・こんなものがこの小さな村に訪れたのなら、皆何事かと思うはずだ。そう思いながらも、カインは目の前の紳士に、


「わたしがカインですが、何かあったのでしょうか?」


 うちの家に訪ねてくる理由が判らず、当人にそう訊ね返した。このような田舎の農民の自分に会いに来るような、そんな立場の方には見えなかったのだ。立派な功績を残すような事をした覚えもなければ、さりとて犯罪を犯して追われる覚えもない。心当たりに見当がつかず悩んでいると、その紳士は途方もないことを言い出した。


「あなた様がカイン様なら、今より国王様よりの言葉をつたえます」


 突然そう言い放ったのだ。


「はぁ? ・・・・・・・・・・」


 カインがそう間の抜けた言葉を発すると、笑顔を向けた紳士が、


「国王様よりのお言葉です、ここより馬車で一日の所にあるシールズという街の領主に、男爵の位をもって任命する。転居に関する手続きも荷もこちらで手配するので速やかに移るように。との事です」


 伝えるべき言葉を伝えると、巻物のように巻いてあった書状を広げ、


「こちらに間違いないことを、書き記した任命書も御座いますのでご確認を」


 これまで見た事もないような書状を紳士は近寄りつつ、差し出してくるのだった。カインは困った顔をしながら紳士を見つめると、


「聞きたい事があれば、この執事に聞くように。との言葉も預かっております。が、さすがに表でこのまま、という訳にもいきませんので中にお邪魔させて頂いても?」


 そう訊ねられて、慌ててどうぞ、と家の中に案内するのだった。・・・・


「で、どういった理由でそのような事に?」


 家族三人と、執事をふくめてテーブルに移動し、四人で椅子に座るとカインは家族を代表して執事に訊ねた。すると執事は、


「詳しく誰、とは告げられなかったそうですが、いまカイン様の奥様のおなかには、輪廻転生をされた、とても大切な方が宿られた。と、城の神託の巫女様に女神様よりお告げがあったそうです。それを聞いた国王様が今のままの生活状態で、もし万が一の事があれば大変と、すぐに手配をなさった、そういう訳です。まあ信じられないかもしれませんが、神託の巫女様のお告げとはそれだけ貴重で重要なお言葉でして」


 聞いてきた事実を家族へと告げると、カインがまたも、


「はぁ? ・・・・・・」

 

 間の抜けたような、気がないのか、訳が分からないのか、両方なのかというような返事とも言えない返事をかえすと、


「まあ、国王様の言葉通りにしてみられては?間違いでなければ1年しない内に新しい子供を授かる、ということですから」


 疑問が尽きず終わりそうにないので、そう締めくくり、


「では、長々とお邪魔致しました。明日より別の使いの者が来ると思いますので、国王様の言葉通り転居のほう、宜しくお願いします」


 別れの挨拶ついでにそう言って去って行く執事を眺めながら、それからしばらく慌ただしい生活を、それこそ待望の赤ちゃんが生まれるまで、過ごすのでした。


 


 


メインに入る前にプロローグ的なものがあと数話はいるかも?という感じですので、退屈でしょうがお付き合いお願いします。

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