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旅立ちーその11-

続きですにゃ^-^

「いや、それにしても立派な馬車ですな。前回来られた時は荷馬車の様な物で来られ、領主一行と気付かない位でしたのに、今回のこの馬車は余りの立派さに、何処の貴族がいきなり来たのかと、皆警戒した位でしたからな。何というか、馬車自体も気品がありますし、白い馬も聖獣様を真似た頭飾りが素晴らしいですな」


 広場で皆集まって、親睦を深める為の恒例の食事会をしていると、参加していた村長が馬車を偉く褒めてくれるので、


「ありがとう御座います。馬車本体は買わずに我の手製でして。それと馬ではありませんよ、あの子達は見たままのユニコーンの姉妹です。うちの馬車を牽いてくれる様頼んで付いて来てもらってます」


 馬車の説明を村長にしていると、周りで聞いていた者を含め、村長自体も我とユニコーンを交互に見つめ、


「なんと、本物の聖獣様がこの様な場所に。しかも人の馬車を牽く為に力を貸されるとは。こんなことは長い人生の中でも初めて聞きましたぞ」


 驚きの表情で、そう告げて来ると、


「これが聖獣ユニコーン様なのか、人前に出てきているのをはじめてみたぞ」

「綺麗な馬だと思ってたら、聖獣様でしたか」

「乙女の頼みしか聞かないという言い伝えは嘘だったみたいだな」


 村人たちも初めて見る聖獣に目を奪われているようで、口々に思い思いの事を話して来るのだった。そんな様子で今回の親睦会は馬車の話で終始盛り上がり、取れたての野菜を綺麗に切りそろえ、ユニコーンに与えに行く者が、子供だけでなく大人にも見受けられるほどだった。そうして今回も遅くまで騒ぎはしたものの、朝いつもの様に起き出し、紹介された冒険者にシールズより乗って来た馬車を預け、村人たちにまた見送られつつ、村を後にするのだった。


 創り直した馬車は人の乗る部分を我が快適な様に創り上げたうえ、それを牽く馬もユニコーン二頭立てと力強く、最初の予定よりずいぶん早く旅が進むようになったのだった。それも、聖獣を恐れているのか、ゴブリンや狼などの何処にでもいる様な魔物すら、近寄ってこなくなったので尚更だった。なので、停泊する場所を見付け、食材になりそうな野兎や猪などを精霊たちに頼み見つけてもらいながら、空いている皆で狩りをしつつ移動以外の時間を過ごし、途中何か所かある村々で野菜などを補充し順調に道程を消化していった。ただし寝る時の、


「マスター今晩は私が横だと皆に言って下さい」

「何を言っているのですか? 私に決まっています」

「ここは一番長く一緒にいる私ですよね、マスター」


 添い寝当番の争いが5人増えた事により、より一層激しくなるのだった。なにせ横は2ヶ所しかないので仕方ないのだ。それも昔決めた事を主張して、片方が精霊達で反対が女の子達というのを持ち出したので、今までシルフィーネが独占していた場所が交代制になり、最初の頃などは狩りの獲物を多く見つけたものなどと言い出し、同じ者が続けて当番を獲得するなどという事があり、苦情が多く、やはりちゃんと順番を決める事にして、少し落ち着くのだった。そんな賑やかな時間を過ごしていると、とうとう目的地の王都が近づいてきた。


「このペースなら明日にでも王都に着きそうですね。皆も旅の間中お疲れ様でした。でもあと一日旅をしますので、最後まで気を抜かず頑張りましょうね。なので、王都に着いて泊まる場所が決まったら、数日は休憩を兼ねて、皆にお休みをあげたいと思いますので、自由に過ごしてください」


 馬車の中で皆に向けそう言うと、


「セオス様はどうなされるのですか?」


 エリーナさんがそう聞いてくる。なので、初日はやるべき事の計画を立てて、二日目からは実行に移せるようにしたいと思います」


 彼女へとそう答えると、抽象的過ぎて聞いてた皆、はて? と、首を捻る様にして悩まし気な顔をして考え込んでいたので、代表して姉上が、


「具体的に如何するの、セオ君」


 率直に聞いてくる。なので、判りやすいように、


「まず学院に通う為に用意されている我が寝泊まりする寮か何かを聞きに行きます。で、そこが皆と暮らすのに不適切な場合、というかこの人数ですので、普通なら学生一人に用意される場所なら無理だろうと思いますので、そこを早めに断り、新しい場所を見つけつつ、そこを借りて維持する為にギルドで依頼をこなす為の顔つなぎをしてくるべきだと思うので、取り敢えずはそこまでを終わらせ、二日目以降は維持する為の依頼をこなしたいと思います。なにせ学園に通うのですから、依頼を受けれない日もでてくると思うので、今のうちにある程度稼いでおきたいと思いますので」


 我が計画している事を説明すると、


「若旦那様、私もお手伝いしたいと思います。狩りならここ二年、ご一緒してきましたので、手伝えると思います」


 ルナールがそう答えると、他の者も、


「若旦那様、私もお手伝いします。お料理以外の時間で何か出来る事は?」

「わたしも~てつだうのです~わかだんなさま~」


 こちらを気遣いつつそう言ってくるので、


「いえ、皆にはいつも頑張ってもらってますし、この旅の間も休みはありませんでしたので、数日は健康でいる為にも休憩をとって欲しいと思います」


 皆に向け笑顔でそう言いつつ、


「本当に頼まなくてはいけない事が出来たときは、遠慮なく頼みに行きますので」


 安心して皆が数日休める様に最後に一言継ぎ足して、最後の一日の旅を過ごしていくのだった。

王都までの旅の話は明日までかにゃ^-^

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