旅立ちーその5-
王都への旅にでました^-^
「それでは、父上、母上、行ってまいります」
アルフォンスに頼み、用立ててもらった馬車に乗り込み、屋敷の外まで見送りに出てきている両親に旅立ちの挨拶をする。
「お前は大丈夫だと判ってはいるが、他は女の子ばかりなのだ、くれぐれも用心して無茶をしない様にな」
心配そうな顔で父上がそう言ってくるので、
「はい。皆の事は必ず我が守ることとしますので安心してください。それよりも母上の事をよろしくお願いします、新婚気分になるのは良いのですが、無理をしてお腹の赤ちゃんに響かない様にお願いしますね。エルネストさん、アルフォンスさん、頼んでいる新しい侍女が到着されるまでは二人をよろしくお願いしますね」
父上に声を掛けた後、エルネストとアルフォンスにも声を掛けて留守の間の事を頼んでおくのだった。すると、
「坊ちゃん、気にいらない事があっても、暴れすぎない様に気を付けて下さいね。学園に通いだすと、甘やかされた我儘な貴族の子供が沢山いますから。まあ、一年も通えば坊ちゃんに絡んでくるような命知らずはいなくなるとは思いますがね」
アルフォンスが笑いながらそう言ってくるのだった。エルネストも、
「王子も王女も通っていますので、孤立する事は無いでしょうが、逆にやっかみが酷くなりそうですね。でもセオス様が全てにおいて数段上でしょうから、心配するだけ無駄でしょうね」
呆れを含んだような笑顔でそう言ってくれるのだった。最後に、
「出来れば毎週帰ってきますので、特別な別れの挨拶は必要ありませんので、そろそろ行きますね」
我が、屋敷に残る皆にそう言うと、
「それでも気を付けて行ってくるのよ、セオス」
母上が手を振りながら、そう言って送り出してくれるのだった。御者は相変わらずエリーナさんが受け持ってくれている。我も出来るので代わろうとしたら、
「貴族の子息が、従者が居るのに御者をすることは常識的にありません。大人しく座っていて下さい」
即答で断られたので、うむ~良い手はないものかと思案しつつ、
「綺麗な女性が一人で御者席に座っていると、盗賊に襲って下さいと、言っている様な物ですよ。なので我に・・・・」
そう言い掛けると、
「き、綺麗な」
小さな声でそう呟きつつ、顔をあかくして照れながら、それでも仕事に対して真面目なエリーナさんは、
「それではセオス様、申し訳ありませんが、お隣に座ってもらっていても構いませんか?」
訊ねる様にそう言ってきた。それを聞いた皆は、
「え~セオ君、前に座るの? 私も前に行こうかな」
「若旦那様、三人座れるでしょうか?」
「わたしは~ちいさいので~たぶんすわれるです~」
狭い御者席に皆座りたいなどと言ってきているので、
「今日停泊できる場所を見つけたら、早めに皆で食事をしながらのんびりしましょうか。急ぐ旅ではありませんしね。なのでそれまでは後ろでゆっくり遊んでてください。先程も言いましたが、可愛い女の子が大勢乗っていると判れば、盗賊たちが出て来るのが当然ということになりますからね」
我が皆にそう言うと、エリーナさん同様、顔を赤くしつつ、
「若旦那様が、可愛い子が目立つから駄目と仰られるのでしたら、従うしかありませんね」
「セオ君が、姉を危険な目に会せない様、気を配ってくれてるんだもん。おとなしくしているわ」
我の言葉に納得できたのか、なんとか引き下がってくれて、大人しく後ろの席に座って身内での話で楽しく盛り上がりつつ過ごしている様だった。御者席でエリーナさんに、
「ああ言って納得させましたので、良い場所があったら早めに馬車を停めて、休憩しましょう。エリーナさんも、無理をしなくて済むようにね」
エリーナさんはその言葉に、
「気を遣っていただいてありがとう御座います。そうですね、明日からもまだまだ旅は続くのですから、多めに休憩を取りながら、無理をしない様、のんびり参りましょう、セオス様」
お互い顔を見合わせつつ笑顔でそう受け答えしながら、今晩安全に停泊できるような広場を見付けつつ馬車を走らせながら、進んで行くのだった。で、夕方近くに丁度良い場所を見つけると、
「エリーナさん、あの大きな木の横に馬車を停めて今日は泊まる事にしましょう。なのであそこに就けて下さい」
場所を指差しながら、我がそう言うと、
「了解しました、セオス様」
丁寧に馬車を進めながら、指示した場所へと向かってくれるのだった。広場に到着すると馬を馬車より外し、カーネとフェールに馬の世話をしてもらいつつ、終わったら、大きな木につなぐように指示を出し、我はバックより前回創っていたのをそのまま入れておいた、宿泊用の半球ドームをその場に取り出し、ネイエに材料を渡し、かまども一緒に出してあるので、料理を頼むことにした。で、姉上とルナールと三人で、周りの偵察を兼ねての野兎狩りに出かける事にした。勿論、
「シルフィーネ、悪いけど障害になるものが近くにないか確認を頼むよ」
我ら三人がそこを出る前に、頼りになる精霊に広範囲を探ってもらう事にしていたのは、いつもの事だった。なので、
「マスターの頼みならば喜んで」
笑顔で了承を告げながら、一瞬で探索に出掛けてくれるのだった。うむ、いつもいつも彼女ばかりに頼むのも何なので、今度他の属性の精霊にも一つずつ世界樹の雫を創って渡しておくかな、などと考えつつ、一応用心の為、気を引き締めながら、宿泊場所に結界を張りつつ、野兎などの獲物を狩りに出かけるのだった。
まだまだ続くのです^-^




