都での滞在ーその27-
仕事の都合で遅くなりましたです;-;もうしわけありませんにゃ;-;
居並ぶ貴族たちがこうべを垂れて整列し終わると、その場へと宰相のベトルスの声が響く。
「王のおなりです」
皆、頭を上げて見ずとも判るような威厳を伴いマテウス王が家族を伴い入場し席へと着く。王妃は横の席へ、王子は王を挟み、王妃の反対となり、王女は王妃側の横へと並ぶ。王家の皆が指定の場所に着くと、王の、
「皆の者、大儀である、面をあげよ」
掛けられた声に合わせ、貴族たちはやっと頭を上げ前にならぶ王家の面々を見た。そこには初めて見る幼い少女の姿もある。続けて王は、
「毎年の事とはいえ、遠路遥々ご苦労であった。まずは例年道り、皆からの報告を聞くとしよう」
皆に向けそう告げると、ベトルスが、
「公爵様より順に、侯爵様、伯爵様、辺境伯様、子爵様、男爵様と続き、王への報告をお願いします」
貴族たちに向けそう告げる、すると例年通りという言葉通り、そつなく一人づつ王の前へと進み出て、
「我が公爵家、王よりくだされし約定、今年も問題なく無事務めた事を報告いたします」
頭を下げ報告し終わると、元の場所へと戻っていく。続けて同じ爵位でも立場の上の者から順に次々と報告してゆく。王は報告を聞きつつ問題ある貴族たちの報告も、まずは顔色を変える事無く聞いておくのだった。そして、最後の順男爵の話まで聞き終わると、皆の方に向け、
「報告ご苦労であった。皆、問題ないとの事だが、間違いないか?」
貴族たちを一人ずつ見渡しつつそう告げると、静まり返るのみで、誰も口を開かなかった。だが、
「宜しいでしょうか?」
幼いながらも凛とした涼やかな声がその場に響いた。その声に、
「よい、申してみよ」
王は、その者へと告げる。皆注目する中、その子供は、
「王都の領民より苦情が出ております。貴族の見栄の張り合いと、好き物が多い為、魔道具屋が軒並み買いあさられ、奴隷商や下手したら街中ですら、人さらいのような真似までする貴族が居るようです。王が民を思いし心を判らぬような者がこれ以上増えぬ様、よろしくお願いします」
堂々と、そう告げる。広間に集まりし居並ぶ貴族の中に、顔を真っ赤にして睨みつけて来るものが見える。そんな中、それを聞いた王は、
「それは真か?」
真剣にそう問いかけて来る。なので、
「はい、間違いなく」
王へとそう答えていると、侯爵をはじめ数人の貴族が、
「王よ、子供の世迷いごとを真剣にお聞きなさるな。初めての登城に目立ちたかったのでしょう。兵たちよ、王の御前を騒がせし者を、はやく連れ出さぬか」
兵に向け怒鳴りながらそう言うが、
「待たぬか、何故、侯であるその方が、話もろくに聞かず追い出そうとする?」
侯爵に向けそう言うと、
「王のお手を煩わせることもないかと」
苦々しく思っているのが顔に出つつ、そう言ってくる。それに対し王は、
「世が構わんと言って、発言を許した者を、何故勝手に、それもそちが言い出すのかは判らぬが、まだ聞いている途中であるぞ」
貴族たちを見つつ、そう言うと、今度は発言した子供に向け、
「今の言、証拠はあるかな?」
優しい声でそう訊ねてくる。なので、
「はい、扉の外に控えている、エルガリオという者を、ここに。それで魔道具屋の件は判ると思います。もう一方の件は、王の横に居られる王女殿下が証人ですので申し開きは出来ないと思います。ねえ、皆さん方」
街中で威張り散らし、狼藉を働きし貴族を見ながらそう言うと、前に居る王女がまぎれもなく、先日見た少女であると、確認できたのか、青くなり項垂れていた。なので、ここでとばかりに、エルネストに持参させた剣を出すと、貴族たちに向け、まず王へと話し掛けながら、
「貴族の皆さまにも、申し上げます。最近勘違いをしている方が多いようですが、そもそも家宝とは、今王が携えられている王錫やこの剣の様に、普段の行いを見た神より下された宝物や、街の民を大切にしている領主へ、王が褒美として与えられた様な品を、その思いを語り継ぐ為に家宝、と呼ぶのです。領民から搾り取ったお金で、人が作りだせる位の品を買いあさった物を家宝と言うのではありません」
王の王錫とアルギュロス家の家宝と言った剣を居並ぶ貴族たちが注目しつつ、されど非の打ち所の無いその品々に反論出来ずに黙り込んでいると、
「今から名を言う者達には厳罰があると覚悟せよ」
王がそう言い放ち、膝をつくほど項垂れた貴族たちは兵により引き連れられ、部屋を出されるのだった。その後、続けて、
「今年は皆に話しておくべき事がいくつかある。心して聞く様に」
家族の方に、笑顔でまず目配せをしつつ、貴族たちの方に向き直り、残っている、信の置ける臣下に向けて、伝えるべきことをゆっくりと話し始めるのだった。
29日の祭日も連休の調整で出勤になった為、一話しかかけないのですにゃ;-;




