5/5
太郎の憂鬱
太郎は、憂鬱だった。
「はぁ……」
何故なら、今日は断水の日で、トイレを掃除できないからだ。
ぴんぽーんぴんぽーんぴんぽーん
突然、家のチャイムが鳴った。
「はーい」
かちゃ
「太郎!久しぶりだなぁ!」
「どちら様で?」
知らない人だが、やけにフレンドリーだ。
「まさか、忘れちまったのか?俺だよ!俺!健太だよ!」
そんな奴いたか?人間違いでは?
「人違いです」
「いやいやお前、太郎だろ?」
「そうですけど?何か?」
「やっぱそーじゃん!久しぶりー!」
「僕は山田太郎です」
「!!!!!!………す、すいません。人違いでした…」
「いやぁ。大丈夫ですよ。ただ僕の憂さ晴らしの道具になっていただければ?」
「ひっ!」
その日太郎宅を訪れた一人の人間がトイレ恐怖症になったという。




