表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/20

疎遠の仲!? ついでにクラス全員を敵に回すのじゃ!

 

 今日こそ朋花(ともか)ちゃんと仲良くなるぞ!

 そう言ってから早半年、朋花ちゃんとは未だに一言も話してません。

 それどころか、朋花ちゃんは目も合わせてくれません。


 僕と朋花ちゃんはいわえる幼馴染みというやつで、小さい時からよく遊んでいました。

 ストレートの長い黒髪、目付きはちょっと怖いけど、それでも眉が長く綺麗な朋花ちゃんは内向的でいじめられっ子だった僕を男勝りで強気な彼女はいつも助けてくれました。


 ちなみに、ロリ体型なサヤ姫ちゃんとは反対に朋花ちゃんはとてもナイスボディーです。特に、残念な胸をしているサヤ姫ちゃんとは違い、とにかく大きいのです!

 


 ……ゴホン。さて、高校に入ってからも朋花ちゃんとの関係は変わらないと思っていたのですが……、あるとき急に朋花ちゃんは僕を避けるようになりました。


 それは何故か? 半年経った今でもわかりません。今の僕は、数学で方程式を解くよりも彼女の心の方程式を解くほうが先です! (声を大にして言います!)


 僕が朋花ちゃんと再び前みたいに仲良くなる時はくるのでしょうか? しかし、そんな疑問より先に気になることがありました。


「お、(ぬし)よ! 奇遇じゃな! 」


 よりによってなぜ僕の隣の席がサヤ姫ちゃんなのでしょう?


「主よ、儂が来たからには大船に乗ったつもりでおるのじゃ!」


 そう言って小さな胸をドンと叩くサヤ姫ちゃん。僕には大船が黒い船に見え、サヤ姫ちゃんは非日常という異文化を僕に伝えに来たとしか思えません。早急に、打ち沈めたい気分です。


「サヤ姫ちゃん。お願いだから僕の邪魔だけはしないでね?」

「うむ、わかっておる。主が勉学に励む姿をここでずっと見ておるぞ! もしも主が他の者に気をとられようなら儂がその雑念を切り捨ててくれよう!」

「いや、サヤ姫ちゃんは僕のこと気にしなくていいからちゃんと授業聞いてて! お願いします!」


 ペコペコと頭を下げる僕、パッと頭を上げた時に気がつくと、クラスのみんなが僕とサヤ姫ちゃんを見ているではありませんか。


 フフフ、お前ら羨ましいだろ。かわいくてロリな転校生にこうして仲良くしてる僕が! さあ! もっと僕を見て!!


 ……なんて思うわけがありません。サヤ姫ちゃんにかぎってはさっさと他の誰かに引き取ってほしいぐらいです。


 しかし、そんな僕の考えとは裏腹にクラスの(特に男子の)目がギラギラと殺気に満ちているではありませんか。

 このままではヤバいと思った僕は、極力サヤ姫ちゃんと関わるのはやめようと思いました。



 授業が始まり、サヤ姫ちゃんにとっては恐らく人生初の授業になります。一限目は英語でサヤ姫ちゃんには絶対理解できません。


 どうするんだろと少し心配になりつつも、授業がスタート。横目でサヤ姫ちゃんを確認そこで僕はハッと目を見開きます。


 僕は訳のわからなくて困惑してるサヤ姫ちゃんの姿を想像していましたが、なんとサヤ姫ちゃんはスラスラと黒板に書いてあることをノートに書き映しています!

 その姿はもはや普通の女子高校生! (略すとJK!)


 本当に理解できているのか、ただ映しているのかは置いといて、僕はこうして真面目に授業を聞くサヤ姫ちゃんに少し感動しました。


 ……その後、サヤ姫ちゃんのことが気になっていた僕に先生が問題を出し、授業を全く聞いていなかった僕はみんなの晒し者となりました。

 


「うむ。さっきの話はとても勉強になったぞ」


 休み時間、サヤ姫ちゃんは満足そうにノートを見つめていました。僕はサヤ姫ちゃんの以外な一面を見て勉強になりました。


「うわぁ。サヤさんて頭いいんだね。ノートにびっしり書いてある」


 と、そこへサヤ姫ちゃんと親睦を深めにきたのか、クラスのみんながぞろぞろと集まってきました。

 サヤ姫ちゃんは照れないでエッヘんと小さな胸を張ります。


「サヤさんはどこから来たの?」「髪、サラサラだね」「彼氏とかいないのー?」「スリーサイズは!?」「ロリっていいよね……」


 一斉にサヤ姫ちゃんに質問するみんな! 押し退けられる僕! (が、必死に耐える!)

 

「サヤ姫ちゃんの家はどこにあるの?」


 ギクッ、その質問にいち早く反応したのは僕。

 サヤ姫ちゃんの家=僕んち。こんなことがクラスに広まれば……。


「うむ。そこで椅子にしがみついている奴と一緒に住んでいるぞ!」


 サヤ姫ちゃんが僕を指さし、そう答える。そしてクラスのみんなが殺気に満ちた目や蔑んだ目で僕を見ました。


「てめえ! こんなかわいい子と!!」「さっきから仲良くしてたのはこういうことだったのか!?」「不埒(ふらち)もの!」


 ……こうして、クラスのみんなを敵に回してしまうのでした。



 

「主よ。お昼だというのに元気がないのう!!」


 元気がない僕にさせた元凶であるサヤ姫ちゃんに言われて、昼休みが始まったと気づいた僕、さっきの授業はずっと放心状態でした。


「とりあえず飯でも食って元気を出すのじゃ!」


 机に突っ伏したまま動かない僕の隣で、パカッと弁当を開けて美味しそうに食べるサヤ姫ちゃん。

 そんなサヤ姫ちゃんに僕は違和感を覚えました。何故なら僕は自分の分しか弁当を作ってません。

 ではサヤ姫ちゃんはどこで弁当を手に入れ……まさか。


 そのまさかでした。僕の弁当はサヤ姫ちゃんが食べている物です。


「サヤ姫ちゃん! なんで僕の弁当勝手に食べてるの!?」

「もふぅ! もふもふ、もふぅ!」

「口に入れたまま話さないで! なに言ってるのか分かんないよ!?」

「もぐもぐ……ゴクッ。ええい! 食事の邪魔をするな!」

「サヤ姫ちゃんに言われたくな……」


 いつもみたいに熱くなりそうなところで僕は冷静になります。またここで騒いだらクラスの注目を浴びてしまいます。

 僕は諦めてポケットから財布を取り出して、売店でパンを買うことにしました。



 

 ……こういう時にかぎって、混んでる。

 売店はパンを買いにきた人達で大にぎわい。僕は人がいなくなるのを待ちました。

 そして人がいなくなると、僕は売店で最後の一個になったパンに手を伸ばし……、


「あ……」


 周りが全く見えていませんでした。手を伸ばしたパンにもう一人の手が重なり、僕はその手の主を確かめました。


「朋花ちゃん……?」


 運がいいのか悪いのか、同じく最後の一個を取ろうとしていたのは僕の幼馴染みの朋花ちゃんでした。

 ばっちりと目が約半年ぶりに合います。朋花ちゃんは一瞬、驚いた表情を見せましたがすぐにムッとした表情をして、手を引き立ち去ろうとしました。


「ちょっと、これいいの?」


 なかなか話せなかった朋花ちゃんに話しかけた僕。


「いいわ。あなたにあげる」


 そう言って朋花ちゃんは立ち去り、僕は慌ててパンを買って後を追いました。もうこんなことは二度とないと、そう思ったのです。

久しぶりの更新でした!

遅くなって申し訳ございません!


読んでくださりありがとうございました♪



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ