サヤ姫登場なのじゃ!
はじめまして!
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「お前にこれやる」
僕のおじいちゃんはそう言って大切にしていた刀を僕にくれました。
「その刀は先祖代々伝わってきた刀じゃ。じゃが気を付けろ、その刀は必ずやお前を不幸にするじゃろ。ヒェッ、ヒェッ」
そう言って僕に刀を渡したおじいちゃんは安らかに息を引き取りました。その顔は心なしか、笑って(僕を見て)いたように見えました……。
僕の大好きなおじいちゃん。今までありがとう。
──ピー。
「って、ゴラァ! 何良い感じで死のうとしてるんだよ! 不幸になる形見なんかいらねぇよ! 」
──ピッ、ピッ、ピッ。ピー。
「今の絶対聞こえてたよね!? ちょっとだけ生き返ったよね!? さっきより死に顔笑ってるよ!? 」
襟を掴んでグラグラとおじいちゃんを揺らす僕は両親と医者に取り押さえられ、僕は刀と共に部屋を追い出されました。
……親も僕を避けてるよね。おじいちゃんが不吉な事言った直後、みんな離れて行ったもん。
──その日から、刀からドンドンと不気味な音が家中に鳴り響き、その3日後、両親は妹を連れて置き手紙を残し消えました。
『お父さん達は長い旅に出ることにしました。心配しないでください。PS、多分おじいちゃんがお前にくれた刀はお前を不幸にすると思うから気を付けろ。ヒェッ、ヒェッ』
「何で二人揃っておんなじ笑い方で終わるんだよ! 絶対バカにしてるよね!?」
そんなツッコミも、今となったらただの独り言になってしまい、こんな事になってしまった原因の刀を僕は捨てることにしました。
……いや、捨てる前にちょっと遊んでみよう。
僕の部屋の押し入れにしまってある刀を手に取り、ゆっくりと鞘から取り出します。
すると、刀から目が開けられないほどの光が僕を包み──。
──目を開けると、僕の腕の中にすっぽりと甲冑を身にまとった女の子がいました。彼女はぱっちりとした目で僕を見て、彼女をお姫様だっこしている僕も同じように目が合い、その5秒後……。
「「きゃーーーーーーー!!」」
そりゃあ誰だって叫んでしまいますよね。僕は、甲冑が重すぎて女の子を落としてしまいました。
「何事なのじゃ!? うぬは誰じゃ!? ここはどこなのじゃー!?」
重い甲冑を着てるのに、すぐに立ち上がって大パニックを起こす女の子。僕はそんな彼女の姿を見てただ呆然と立ち尽くします。
僕は幻覚を見るまでに心身共に疲れていたのでしょうか……。
いえ、あの甲冑の重みは幻覚などではないことを僕に証明してくれました。
つまり……突然、女の子が現れたというまるで漫画の世界のような出来事は現実に起こってしまったのです!
「まさか……、儂は敵の捕虜になってしもうたのか? ここは敵の城か!? そなたは見張りの兵か!?」
「ちょっと待って! パニック起こしすぎだよ君! 」
「ええい! 敵の言うことなんか聞かぬ。こうなったら身ぐるみを剥がされる前に自害してくれよう! 」
そう言って女の子はさっきの刀を──、
「……ない。刀がないのじゃ! 」
ってあれ、そーいえば刀はどこに行ったんだろ?
「おのれ……! こうなれば舌を噛みきって……」
「いやぁー! それだけはやめてー! 」
これが僕と彼女の初めての出会い。
そして、僕の不幸の始まりでした……。