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まっているよ

作者: 池内 ありぃ

またいつものように


ただいまーって


あなたが


帰ってくること


信じてる。


時間のあるかぎり


私はまっているよ

高校を卒業し‥

夜の世界へと飛び出た。

お金もなく計画もなく家出したので仕方がなかった。朝に家を出たのに‥気づくと夜中。私は夜中に外へでるのが初めてだった。友達に電話して泊めてもらおうかなって思ったけど、迷惑やんね。夜の道って少し怖い。 姉ちゃんカラオケ行こ〜とかずっと声かけられる。全部フル無視。私はある駅前をウロウロしていたらスカウトされ、「おねえさん、よかったら夜のお仕事してみませんか?」私は何も考えず「はい」そして、スカウトマンさんと一緒に電車へのりお店へ。

お店で体験入店の手続きをすませ、店長に源氏名どうします?ってきかれる「源氏名?」「お店での名前ね」「あー」「結構本名でしてる子もいてるけど、まったく違う名前の子もいてる」「んー、本名にします。あ、一文字だけ抜いて、ありぃにします。」「了解〜」「やっぱ、私‥」「あーそうそう、あとお酒の作り方とタバコの火の付け方ね。教えとく。」「はい」「あとは適当におしゃべりして、お客様楽しませちゃって〜」「はい‥」そこには、きれいなメイクにきれいなドレスを着たお姉さん達が沢山。とてもこういう世界に自信がなく、断るなら今と思いつつ、貸しドレスに身を包んだ私は次の新規さん入ったら接客おねがいねと言われいつの間にか、夜の世界へと飛び込んでいた。

お客様が来店し、「常連だけどフリーの人なので付いて下さい」といわれボーイさんに「ありぃさん入ります」で初の接客が始まった。かなりの緊張。「始めまして!ありぃです」といい名詞を渡す。「あれ、俺たまにこの店来るけどありぃちゃん初めて見るねー」「ありぃ今日体験で入ってます」自分でもびっくりするぐらい話しが進む。「お兄さん、お仕事帰りですか?」「おん、仕事終わって連れと飲みに行って2件目行こーってなって」「え?お連れさんは?」「そうなりますよね〜、この店一直線にきたつもりが、俺がコンビニ行ってる間に連れがこの店と違うキャッチさんに連れて行かれて、メールきて違う店おるけどお前別行動でーって言われて俺だけここ来てん」「そうなんですか。でも、何度かこのお店来たことあるなら指名の子いてたんじゃないですか?」「居てるけど、こうやってたまにフリーではいるんよ。そしたら今みたいにありぃちゃんと‥」お客様と声が重なるかのようにボーイさんが、「ありぃさーん、ありぃさーん」「途中ですが、すみません失礼します」「おん!」そして次のお客様へ、また次への繰り返し。1時間くらいしてボーイさんが「ありぃさん、指名入ったよー」と指名してくれたお客様のもとへ。そのお客様は初めて接客したあのお兄さん。「ありぃさん入ります」「指名ありがとうございます。」「おん。なんかもうちょっとありぃちゃんと話したくて指名してもーたわ!ありぃちゃんなんかドリンクたのみー」「ありがとうございます。」あ、さっき店長さんに言われてた。ドリンクは◯◯チューハイってゆうたらお酒だすけど、◯◯ハイって頼んだらこっそりソフトドリンクやからね。って。

私はお酒が苦手というか未成年やし、「ウーロンハイお願いします。」と頼んだ。心の中でウーロン茶やのにねーとおもいつつ、お兄さんとの話しをすすめお兄さんにお酒を作り。「ありぃちゃん、18くらい?」「すごーいぴったりです!お兄さんは?」「俺、何歳に見える?」「えっと、32.33ぐらいに見えます。でも、ちょっと下に言ってた方がいいんですよね(笑)30にしときます」「あっはっは、正直な子やね、でも俺もう40やー」「えー」「見えへんやろ?ていうより落ち着きないんかも」「(笑)」話しこんでいると「ありぃさん、お借りします!」とボーイさん。

指名入ったわけでもないけど、混んできたからフリーついてーっていわれ色々なお客様に周り、お兄さん以外にも指名をもらい、やっとお兄さんの所へ「すみません、戻りました」「待った待ったー、ありぃちゃん人気者やねー」「たまたまです」てゆうより、今日は新人好きなお客様が多いとさっき店長に言われてた。「お兄さん、よかったらお名前教えてもらえますか?」「カズ!カズやで!」「カズさんですね。」「さんいらんでーありぃちゃんは本名?」いつか聞かれるとは思ったけど「ありぃはほとんど本名です。一文字違うだけ。日常の友達にもありーって呼ばれてるんで。それに、名前かえると絶対お客様に本名言っちゃってばれそうやし」と話しつつ、カズさんにお酒を作る。「わ、ありぃちゃん!さっきよりお酒濃いわ!」「ごめんなさーい」「大丈夫大丈夫(笑)」「でも、濃い(恋)じゃなくて、愛ですよ!お酒は愛情の分だけ入れてるんで」「ありぃちゃん、うまいこと言うなー」「ありぃちゃん、店終わったらメシいこーや」アフターってことかな「さっき他のお客さんにも言われて、平等に決めたいので、お店終わってから誰と会うか決めます。すみません」「そうか、ほな期待して待っとく。」「お店終わったら電話するので連絡先教えて下さい」「ん、紙に書くわ」そして交換し、他のお客様、カズさんに順番に周り、お店が終り

「ありぃちゃーん、よろしくねー。お疲れ様ー。」と先輩たちに声をかけていただいた。いい先輩たちでよかった。

今日連絡先聞いたお客様全員に来てくれてありがとうの電話をして、カズさん含めお店終わってから会おうと言われていた人たちに「今日、今から用事があるので、すみません」と言った。用事と言うより本当は疲れて疲れて。そして、今日の体験入店のお金をもらった分でマンガ喫茶でも行って寝ようと思ったけど、これからのこと考えるとお金をあまり使えなかったので3時間パックというのを取りマンガ喫茶でシャワーを浴びメイクをし直しフリードリンクで一息付きあっという間に3時間終了。マンガ喫茶を出てそのへんをウロウロ。ウロウロウロウロ‥夜になり昨日店長と入店の約束をしていたのでまた出勤し、昨日とは違うお客様やありぃ目当てに指名できてくれるお客様も。そして、カズさんも。「カズさん、また来てくれたの嬉しいです」「つい、来てしまった」

今日もお店が終り今日指名してくれたお客様とアフターをしてみた。ご飯を食べ買い物に行きドレスやアクセサリーを買って頂き、次の日の出勤でそのドレス等に身を包み いつの間にか夜の世界へとのめり込む。

そして、アフターしたお客様が帰り私はまたマンガ喫茶でシャワーを浴びてメイクをし直し、出勤の繰り返し。睡眠はマンガ喫茶で小一時間程とれる時だけ。これを繰り返して入店して6日が経つ。6日目もカズさんは来てくれた。「またまた来てくれてありがとう。」「なー昨日も思ったけど会った時より痩せたなぁ。」「気のせいですよ」「てか、さすがにそろそろプライベートで会ってーな」「またお店が終わってから誰と会うか決めます」「ですよね」そうして6日目もお店が終わり、来てくれた方に電話でお礼を言いカズさんにも、電話をして「今からいいですか?」「おん!やっと順番回ってきたわー」で、店の近くの駐車場にいてるって言われてたので私はそこへ行き、カズさんに会う。「どこ食べに行こうか?とりあえず車乗り」「あ、あの会って間もない方の車に乗るのは抵抗あります。」「あっはっは、間もないって店通って一週間ぐらいたつけど」「すみません」「ま、ほな歩いて行こか。いつもお客さんとどこ行ってんの?」「えっと、お食事は店終りはファミレスとか喫茶店で、店前は焼肉とか居酒屋とかです」「んーとりあえず近いからファミレス行こか」「はい」そして食事が終わり「ありぃちゃん、欲しいもんあるんやったらなんか買ったるから買い物行こか!眠かったら他でもいいけど」ギク‥「か‥買い物いいですか?」「おん!でもさすがに車でいこや」「では、後ろに乗ってもいいですか?」「おん、買い物じゃなくても行きたいとことかある?」「今日じゃなくて、今度行きたい所連れて行って下さい。カズさん明日も仕事だから早く帰って早く寝ないと」「仕事は仕事やけど自営業やし、大丈夫やー」「そうなんですか。でも、ありぃそろそろ」「せやんなーお疲れやし眠いよな」「すみません」「それより、ありぃちゃんなんか顔赤くないか?」え‥ノンアルコールやのにと思いながら「気のせいですよー」「そうか気のせいか。ほなまー家の近くまで送るわ!◯◯市やろー通り道やし。なっ」「悪いです、電車あるんで大丈夫です。それでは今日はどうもありがとうございました!」と車を出た 瞬間、目がチカチカした。フラついた。カズさんが運転席から飛び出てきて私を支えてくれた。もう一度私を後部座席に乗せ、寝かせてくれた。何時間たっただろうか、やっと目を覚ました私は気が付くとおでこに冷却シートをはっていた。カズさんは横で座って寝ていた。私が寝ている間に冷却シートと体温計をかってくれたのかな?私は起き上がり、カズさんの横へ座る。なんだか体が宙に浮いた感覚がする。頭が痛い。カズさんが目を覚ます。「ありぃちゃん!大丈夫か!?」「すみませんでした。」「ありぃちゃんめっちゃ熱あるぞー」「そうなんですか、今度こそ迷惑かけないうちに帰ります ていうより、そろそろ出勤の時間なんでそのまま店行ってきます」「あほー今日はさすがに休みー!そんなんで出勤してもしんどいだけやー」「そうですよね店にまで迷惑かかっちゃうよね。そうします。休みます。とりあえずカズさんにも迷惑かかっちゃうといけないんで、車からでます。」「あかんあかん、ちゃんと送るから!で、迷惑なんか思わんから!◯◯市やろ?家の前までいかへんから近くの都合いいとこゆうてみ」「でも‥」「ん?」「私、帰る所ないんです。」「え?あーまだ朝帰りとか夜遅くとか帰ったら怒られる歳かあ」「う‥うん」「ほな、どうしよか?」「ここから一人でどうにかします。大丈夫です」「どうにかって、じゃあ帰れる時間なるまで一緒におろうか」「大丈夫です。カズさん、帰って寝ないと」「いや、ありぃちゃん気になってほって帰られへんわ」「ありぃ、大丈夫ですよ」「あかんて!」「あの‥ありぃ、入店したあの日の朝に家出たんです。出たというより親に出されました。だから何時になっても帰れないんです!」「じゃあ家出てから今までどうしてたん?」「店終わってからアフターして、終わったらマンガ喫茶でシャワー浴びて、メイクし直して、マンガ喫茶でたらウロウロして、出勤して‥の繰り返しです。その日暮らしってやつ」「寝るのは?」「時間があればマンガ喫茶で小一時間程‥」「たまに小一時間て‥」「この先もしばらくこの暮らしです。マンガ喫茶が無理な時は歩いて歩いて歩いて時間潰してって予定です。」「ありぃちゃん、そりゃ体調壊すわ。ご飯は?」「アフターか同伴の時に」「俺、ありぃちゃんほっとかれへん。俺の家おいで」「そこまでお世話になれません。ありがとうございます。カズさんの家庭の邪魔も出来ませんし。ありぃは大丈夫!」「大丈夫あらへんわ!しかも俺独身や」「え、こないだ子供が小さい時に〜ってお話ししたような」「あ〜バツ1てやつやわ。もう10年程独身やで」「そうなんですか、でも、お店で会った方のお家には‥いけません。」「ありぃちゃんが心配やねん」「ありがとう、でも」家出たこと話さなきゃよかったのに何で言ってしまったんだろう。「ありぃちゃん、猫好き言うてなかった?」「急に猫ちゃんの話し?(笑)ありぃ、めっちゃ猫ちゃん大好き!」「うちに猫見においで」「猫ちゃんいてるんですか?みたーい」「おん、ほな」車はしって40分くらいしたらマンションの駐車場に着いた「おりるで」「はーい」カズさんが玄関の鍵をあけ一緒に入った 少ししてでっかい猫が玄関まで飛んできた「ニャー」「可愛い!」「ありぃちゃんあがりーソファ座ったら猫もくるわ」「玄関で充分ですよ」「あかんあかん」手をひっぱられながらリビングのソファに「かー子ちゃん、ここおいで」「かー子ちゃん?」「この猫の名前やで」「(笑)人間みたいな名前ですね。かー子ちゃん、おいでー」「ニャー」「返事してるみたい」「せやろーこの猫おりこうさんやねんでー」「へぇ」30分程かー子ちゃんと遊んだ「カズさん!ありぃ、だいぶかー子ちゃんと遊んだのでそろそろ帰ります。ありがとうございました!」「帰るってどこに帰るん?」「あ‥」なんか急に寂しくなった。「家ないの知ってるくせにカズさん、いじわる」「ごめんごめん、でもせっかく来たんやからゆっくりしていき」「ありがとうございます。」おでこをさわられ「うん、まだある」「でもありぃ大丈夫ですよ。ただの風邪ですきっと。」さっきから携帯がカバンの中で振動している。きっとお店かな‥「カズさん、お店にお休みの電話したほうがいいですよね?」「せんでええやん」「え?でも無断欠席ってだいぶ罰金されるみたいなんですよ」「えーまだ続けるん?お店辞めーや」「ありぃ、お店辞めるとその日暮らしも出来なくなるから‥」「大丈夫!ここおったらいい!」「‥‥‥」「ありぃちゃん、家からだされた理由って聞いてもいい?」「‥‥‥」「言いたくなかったらいいけど、なんでも言うといたほうが得やで」「私‥」「ん?」「ありぃ、ちょっと前に体調悪くて高熱繰り返してお母さんと病院で検査受けにいって、採血とかしたからまた後日結果聞きにきてくださいって言われて3日ぐらいたってから病院行ったら、再検査してって言われて、その間にお母さん結果聞いたんかな。私にはまた後日来てってーっと。その日家帰って普通に過ごして普通に寝て‥夜中トイレ行こうとしてお父さんの部屋の電気付いてて、お父さんとお母さんの話し声聞こえてきて‥立ち聞きしちゃって。父がありの結果どうやったん?的な話しになったんかな?名前が聞こえたから立ち止まっちゃって‥。母「どうやら手術しやんことには見込みないみたいよー」父「手術かあ、まあ今の技術にまかせよか」母「それが、えらい難しい手術みたいでなーしかもかなりの費用かかるみたい」父「なんぼ?」母「たしか(手とかで額示したんかな聞こえなかった)」父「うわ、それはさすがに。」母「そーやろ、手持ちにあったとしても、ありにそこまでだされへんやろ」父「どうにかなりそうな額でもないもんなあ。」母「どないする?受けへんかったら半年とか言うとったで。でも、手術せんでも通院治療でちょっとは伸びるみたいやけど」父「とりあえず、そうしよや。20なるまで生きたら、ありも充分やろし」母「私も思っててん。◯◯(妹)の今後の入学費用とか、色々あるから、ありが手術しても完全に治るわけちゃうし、◯◯にお金かけてあげたほうがいいんちゃうかなって」父「せやな、俺等が悪いんちゃうしな」母「そういう運命で産まれた子やったんやわな」‥‥「ありぃ、その時思いました。親に捨てられたんかなって。小さい時からも妹より私後回し。高校の学費も妹は親、私は奨学金。ありぃ、きっといらない子だったんです。自分で自分がなんの病気かもわからないまま、少量の荷物をまとめて家から出ました。」「ありぃちゃん、勘違いやで!捨てられてない!」「私だって勘違いって思いたい!でも、そうじゃない証拠に家出してから親から電話もなにもない!」「ありぃちゃん‥」「カズさん、こんな空気にしちゃってすみません。ありぃ‥メイク落としてきます。落としたあと顔みないでね。」「ふっ、あんまり変わらなさそうやけど」とメイク落としメイク落としとつぶやきながらカバンを持ち洗面所へ‥のふりして静かにカズさんの家を出た。だいぶ歩いたけどどこやろかここ。ありぃ、だめな子やカズさん困らせてばっかり。さっき雨降ってたんかな道が濡れてる。今降ってないセーフ。道路の大きな看板に「←◯◯市 ◯◯市→」と書いている。元の家とは違う方向へ歩こう。ポツポツと小雨が降ってきた。傘いらない程度。頭痛い!なんとなく体が痺れてる感覚。待ち合い室のあるバス停を見つける。この時間にバスなんか走ってないし、少しここで雨宿りしよう。今はまだ4月。夜は寒い。服はワンピースに薄いスプリングコート。バス停のイスで縮こまりながらいつの間にか横になり、時間がたつ。今何時かな?携帯を見る。わ、もう夜中かぁ。着信15件と表示されている。きっと、カズさんとお店からだ。ずっとなっていた携帯の電源を切る。もうちょっと歩かないと‥ここじゃだめ‥歩かないと‥。目閉じてるのに光りが入ってきた。誰かが近づく音がする。‥‥‥。

「ありぃちゃん!ありぃちゃん!」ん?少しづつ目をあけてみた。カズさんだ!「ありぃちゃん、こんなとこおったら余計熱上がる!」「カズさんどうしたの?」「どうしたんちゃうわ!急にびっくりするやろ!探しに出ても見当たらんから車だしてうろちょろしたらバス停見つけたからもしかしたらって見にきてんやん!おってよかったわ!帰ろう!」「カズさん、もういいんよ。ありぃと関わらんといて下さい」「あかんて!」「ありぃ、歩いて歩いて歩いて限界来たら誰にも迷惑かからない所で‥って思って。「あほなこと言うてんちゃうで!ありぃちゃん、病院行こか」「行けません。」「なんでや?」「なんでって‥病院行って病院の人に家に電話されて、親に知れたのに親が来てくれなかったら来てくれないですごいショックやし、逆に来てくれたとしても連れて帰られてカズさんにもう二度と会えなくなる」「ありぃちゃん」「カズ‥さん‥」「ありぃちゃん!ありぃ!ありぃ!?」口がかじかんで言葉も発声できない。起き上がれる自信もない。カズさんお願いほってかえって。「カズ‥さん‥お‥ねがい‥ほって‥かえ‥って‥おね‥がい‥。」私捨てられるのは慣れたから。「ありぃ!もういいわ!」もういいって?ほってくれるんかな?少し目を開けニコッとしてみた。カズさんがバス停から出て行った。少しして戻ってきた。私を抱えて車に乗せた。さっき車を回してくれたみたい。探してくれてうれしかったけど、カズさん私とは関わらない方が平和だよ。目が覚め、気がついたら私はカズさんの家のベッドにいた。体が動く気がして座ってみた。そして立ち、壁つたいに歩いたカズさんはリビングのソファで寝ていた。カズさん‥私はカズさんの寝ている前にしゃがむ。カズさんが目を覚ました。カズさんは私の頭をなでてくれた。「カズさん、ありがとう。」「ん、ありぃちゃんこっちおいで」横にすわる「ありぃちゃん、俺思ってんけど俺ってありぃちゃんのお父さんと同じくらいか?」「はい、カズさんのほうが2つ上です。」「そうか、ありぃちゃん‥俺がありぃちゃんの親になる‥欲を言えばありぃちゃんの旦那になりたい。20以上歳の差あるけど、あかんか?」カズさんが私をぎゅってしてくれた。あったかい。そうか、そういえば親より上なんやね。歩いてたら親子にみられるってこと?でも、カズさんに親にはなってほしくない。どっちかなら断然、旦那さんに!でも‥「カズさん。すっごくうれしい‥うれしいけど‥」「既婚者は未成年でも成人扱いで自分で入院の手続きできる。しかも、俺ずっとありぃちゃんと一緒におれる」「私もカズさんとずっと一緒にいたい。でも、それはカズさんの一時的な感情だと思う。日にちが経てば時間のない私なんかと一緒になったこと後悔するはず。絶対」「後悔せん!約束する!それにありぃちゃんに時間はある!俺より若いのに!」「カズさん、ありぃのこと怖くない?なんの病気かわかんないし、なんの権利ももてない未成年。」「怖いわけない!とりあえず、ここで一緒に暮らそ。で、時期が来たら籍いれよ。それまでに色々決めたらいい。俺はありぃを離さへんで!約束は守るためにあるんや!絶対離さん!」「カズさん‥」「今日はもう寝よ。ありぃ、ベッド使い。」「そんなん‥」「んな、一緒に寝よ」「うん‥」それから、カズさんとありぃの生活は始まった。何日かして私が動けるようになってから家の必要なもの食器など買いに行った。楽しかった。カズさん名義で携帯を作ってくれた。一緒にプリクラも撮った。幸せ。私がキッチンに立っているとカズさんは必ず写真を撮っている。寝ているときも。私がスッピンのときも。楽しい時間。

洗面所につけまつ毛を置き忘れてたら、カズさんに「かー子ちゃんがゲジゲジで遊んでたで〜」って言われる

おでかけするときは、いつもは短かいワンピースやショーパンだった私がカズさんに合わせて七分袖のズボンなど履いてみる。じゃないと、カズさん私と歩くのが恥ずかしいんじゃないかなって思う。

カズさんが、私のためにタバコを分煙してくれる。仕事の時と、家ではホタル族。

高校の時、友達が言ってた

「男は時間がたって慣れると

必ず性格 変わるよ〜

優しいなんて最初だけ〜」

って。

でも、みんながみんなそうじゃないはず。

カズさんはずっとこのままだろうな。

私が体調悪い時は体をさすってくれる。カズさんは優しすぎる。誰にでも優しいのかな。優しすぎると損しないのかな。私はカズさんが仕事に行ってる間、片付けメインで家事をする。買い物にも行く。自分でも分かる程元気になっている(気がする)

カズさんが帰ってくるまでにご飯を作っておく。今、私はすごく幸せだ!カズさんありがとう。

カズさんとの暮らしが始まってもう2ヶ月弱。

籍なんか入れなくても充分。

昨日、カズさんが、仕事帰りにプレゼントを買って来てくれた。

おっきいクマちゃんのぬいぐるみ。

この前の話し覚えててくれてたんかな。

夜、寝れない私を見て、

「ありぃちゃん、寝られへんのか?」「すみません、ちゃんと寝ます」「自分の部屋ベットじゃなくて敷布団やったんか?」「いえ、ベットでしたよ」「まー寝床変わったら寝付きも悪なるもんかな」「うん‥前はぬいぐるみ抱っこして寝てたから‥でも大丈夫!カズさんにくっついて寝るから」

でも昨日からぬいぐるみ抱っこしながらカズさんにくっついて寝てる。

今日もカズさんとくっついて寝れる。

そうそう、そろそろごはんの支度しなきゃ。

毎日顔合わせてるのに、毎日毎日カズさんの帰りが待ち遠しくて。


大好きカズさん。


携帯がなる‥

いつも夕方ぐらいに今から帰るとカズさんから電話がくるけど、今はまだ昼。

でも、携帯の画面みると「カズさん」の文字。今日は早いのかな?いや、早すぎかあ。

「もしもし?」「あ‥ありぃ‥今病院で‥仕事で‥俺‥」「どうしたの?」「帰るの遅くなる‥」「待っとくよ。でも、どうしたの?」「ありぃ、愛してるで」「どうしたの‥?」「ありぃ‥」「ん?」「‥‥」「カズさん?」電話が切れた。病院だったから電話しにくかったんかな。カズさんどうしたんやろ‥怪我しちゃったんかな‥。とりあえず待っとこう。今日カズさんが帰ってきたらどんな話しをしようか考えていた。

2時間‥3時間‥

1日‥2日‥

どれだけ待ってもカズさんは帰ってくることはなかった。


カズさん‥

カズさん‥

カズさん‥


ずっとまってる。

まっているよ‥

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