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第5話:進撃の肉親+α

 脱衣所での珍事件から数分後、俺といつきは共に居間にいた。

「いや、なんかその、スイマセンでした……」

 開口一番に謝ったのはもちろん俺の方で、いつきはブッスゥと頬を膨らましてる。一通りの説明は既にしてある。あの時俺があそこに居たのは単なる不注意があった訳で、やましい気持ちは何一つなかった。

 それでもいつきは許せないようで、

「そりゃまあ確かに、すぐに気づかなかったわたしも悪いとは思ってるよ」

 そこでいつきは言葉を区切った。それから身を乗り出すように両手をテーブルにつけ、

「でも、それでも!一言も声をかけてこなかった春人くんにも、じゅーぶん責任があると思います!」

 やれやれ、と俺は心の中で嘆息した。

「わかったよ、今度なにか奢るからそれで勘弁してくれないか?そろそろ次の課題にも取り組まないといけないからさ」

「……わかった、わたしもそう考えてたから」

 居間の空気が張り詰めたように感じた、たぶんいつきもそう感じただろう。とりあえず最初の議題は片付いた、残りは、

「残りは冬馬の問題か……」

 かれこれ長期にわたって繰り広げられたような問題。どうやって冬馬を学校に通わせるか。

 いつきが控えめに手を挙げる。どうぞと促すと、

「やっぱり、わたしたちだけじゃ無理があるんじゃないかなあ?誰かほかの人に手伝ってもらったりしない?」

「一理あるな。だけどオマエ、理事長に約束してたじゃないか」

「うん、でもなんだか不安になってきて」

 なるほど、いままでちょっと元気がなかったのはそのせいか。恩人にああ言った手前、『やっぱりむりです』と言うのは酷なことだろう。

 しかし、誰かに手伝ってもらうにしても冬馬のクラスメイトなんて誰も知らない。林さんも自分には説得できない、と悲しんでいた。

 そう、問題は俺たちが頼みやすくて、しかも冬馬と近い年齢の人物。俺の知ってる中でそれらの条件にあてはまるのは、

「さえき姉さんくらいかなあ?」

「誰それ?」

 いつきが首を傾げる。俺は軽い口調で説明する。

「木村さえき、俺の姉だよ」

「え、春人くんお姉さんいるの?」

 きょとんとしてるいつきに、俺はさらに続ける。

「いてもおかしくはないだろ、といってもしばらく家を留守にしてどっか行ってるがな。いま頃そこらでボランティアでもしてるんじゃないか?」

 そんな時、ピンポーンとチャイムが鳴った。

「あれ、春人くん誰か来たよ?」

 時刻は夜9時過ぎ、早くもなければ遅くもない中途半端な時間に、いったい誰が来たんだ?

「郵便にしても遅いしな、押し売りとかはゴメンだぞ」

 立ち上がりながらボヤいた俺は、玄関に向かう。背後からいつきもついてくる。

 ピンポーンと再度チャイムが鳴った。

「ハイハイ、今開けますよーっと……は?」

 適当に言いながら玄関の扉を開けた。するとそこにはある意味予想外の人物が立っていた。まさか噂の人物が来るなんて。

「ヤッホ~、春人元気にしてた~?アナタの大好きなさえき姉さんですよ~」

 見間違うはずがない。ほえほえとした笑顔とゆったりとした物腰、それは昔から見てきた姉さんそのものだった。

「姉さん、今まで、どこに、行ってたんだ?」

「ん~、ちょっとね~旅みたいなことをしてたのよ~」

 相変わらずのほほんとしながら答える姉さん。

 しかし俺にとってはもう一つ別種の驚きがあった。つまるところ、それが出迎えたときに思わず口から漏れた「……は?」の正体である。

 舌で唇を湿らせてから俺は聞いてみた。

「……そう、なんだ。それはそれとして、姉さん……後ろの子供は何ですか?」

「あ、そうそう。この子も紹介しないとね~」

 じゃーんと言いながら姉さんは後ろにいた子供を俺に見せた。寝ぼけ眼に片方だけ結んだ髪、表情はむっつりで無愛想な印象を受ける。

 ほら、あいさつあいさつ~と言いながら促す姉さんを軽く見、少女がこちらに向き直る。そしてやはり無表情のまま、

「……どうも、逢坂月子あいさかつきこです。よろしく」

「え、えーと……一体これはどういうことでしょうか、さえきさん?」

「え?どういうことって、わたしのカワイイ娘だよ~」

 なん、だと……!俺は愕然とした。この子は今いくつだ?パッと見十代前半くらいだ。そして姉さんは今年でいくつだった?確か22歳だったはずだ。それら全ての要素を合わせて考えると……

「結婚、してたのか?」

 引き攣った笑顔で笑いながら聞いてみる。

「んふふ、じょ~だん冗談。実は旅先で色々とあってねぇ、とりあえず家に連れて来たのよ~」

 なん、だと……!再び愕然とした、オマケに頭痛もしてきた。痛みを抑えるように手で頭を押さえながら、俺は嘆息した。

(あ~、旅先でも姉さんの拾いグセは健在だったかあ……!)

 ぶっちゃけ理解してたと思っていたが浅はかだった。むしろ家を出る前より癖が進化を遂げていたとは……!

 そんな俺の心境を知ってか知らずか、姉さんは俺と無言で今までの会話を聞いていたいつきを交互に見てやり、

「それにしても、しばらく家を空けていたら女の子と一緒に暮らしてるなんて、フフフ、なんだか楽しそうな事になってるわねえ~」

 のほほん顔に僅かな偽悪的の笑みを見せながら笑っていた。

ある日のメールでの出来事

作「常にほえほえ顔の姉と無表情の幼女、お前はどっちがイイ?」

友「う~む、悩むなあ(´Д` )」

作「どうすっかな~」

友「こういうのってスゲー重大だよなーw」

作「……(最後のwが想像以上にウゼー」

どうもいざっくです。冒頭のやりとりは本編とは全く関係ありません……本当ですよ?

今回は姉属性とロリ属性の新キャラをだしてみました。フフ、決めるまで悶えまくってたぜぇ……!

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