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キラーズギフト  作者: アイズ
序章。
2/6

プロローグ2

かなり遅くなりました。

「キャアアアアアアアア!?」


 時刻は朝の8時、カーテンで光を遮った空間に響く甲高い悲鳴。同時に沸き上がる笑い声。部屋の真ん中にランタンとクッキーやスナック菓子、ジュース、ティーポットが置かれたテーブルを囲むのは皆若い男女。


「アハハ、苹華ってホントに怖がりだよね」


 目を回しているショートヘアの少女の頭を撫でている少年。


「怖いモノは怖いんだよみっちゃん・・・」


「ただの都市伝説にここまで怖がってしまう苹華さんって・・・」


 紅茶を注いだティーカップに口をつけている女性は苦笑しながら時計に視線を向ける。同時に室内に小さく鳴り響いた入り口の戸をノックする音。

 あいからず時間には正確ねぇ、と笑い彼女は訪問者を笑顔で迎え入れた。


「おはようございます先輩方。兄さんをお越しにきました」


 入室してきたのは普通の人にはありえない真っ赤な髪と真っ赤な瞳そして人形みたいな無表情さが印象的な少女。

 小さく一礼した彼女に先輩と呼ばれた三人は和やかに挨拶をする。


「毎度のことですが朝談の為に我が家へ不法侵入して兄さんを誘拐するのはやめていただけませんか遠藤先輩」


「だったら有栖ちゃんも朝談に出ればいいじゃん。あと私の侵入を拒みたかったら侵入経路は毎回全溶接することをおすすめするよ」


「無理です。労働力の無駄です。そして朝7時なんて早すぎて起きれません。8時でも早すぎると言うのに」


「前半は同意権だけど後半はダメ人間のセリフだね」


「光臣くん、苹華さんにそう支持した貴方がそんなこと言ってはいけませんよ。まぁ、朝談は週一回やるかやらないかなのでできるだけ皆さんに参加していただきたいのは確かなんですけど。それよりもお兄さん起こさないと皆遅刻しちゃいますよ?」


 


「あ、はい。兄さん、起きてください。起きないと遅刻しますよ」


 有栖と呼ばれた少女は目の前に突っ伏して寝息をたてている男性の肩をゆする。


「・・・・悪い有栖」


 兄と呼ばれた男性はゆっくりと突っ伏していたテーブルから身体を起こし、まだ眠たそうに目を細めながら小さくあくびをする。


「おはようございます。カーテン開けてしまいますので眼鏡掛けてください」


「・・・あぁ」


 彼は眠気を噛み締めながら眼鏡を掛けると立ち上がる。


「それじゃ俺達は先に行きます。いくぞ有栖」


「はい」


「僕達も行こうか苹華」


「ねぇみっちゃん、今日の授業ってなんだっけ?」


 先頭を歩くあまり喋らない兄妹と賑やかな二人を見送り、私八代麗は小さく一息つく。


「さて、私も片付けして授業に行きますか」


















 さて、まずは自己紹介をしておこう。俺の名前は若久立浪(わかひさ たつなみ)。神奈川県にある私立桐ヶ崎学園高等部に通う二年の男子生徒である。身体的特徴と言えば長身に黒い髪、そしてーー



「お、おはよう・・・・」


 

 不良のような目付きとアルビノ体質である真っ赤な瞳が挙げられる。服装も私立校のそれを着崩しており見た目はボンボンの不良。


「・・・あぁ」


 そして俺自身あまり喋らない為にクラスからは恐怖の対象として見られている。現に先程まで賑やかだったクラスは俺の入室と共にお通夜のような状態だ。

 時折挨拶してくるのは一年から同じクラスだった奴等で、他の連中は何も言ってこない。


 俺は恐る恐る挨拶してきた女子生徒に小さく返事だけして一番後ろの窓際に一つだけある席に座りHR の開始を待つのだった。





「立浪、迎えに来たよ」


 放課後、眠気が完全に拭えた俺のいるクラスにやってきたのは隣のクラスに在籍するうっすらとした茶髪の優男。名前を御門光臣(みかど みつおみ)。

 この学園で俺に話し掛けてくる数少ない人間の一人だ。何故だかは知らないがこの学園に入学した日から俺の外見に恐れることもなく絡んでくるやつで今ではよくつるむようになっている。


「おう、いくか・・・」


 これから友人と向かうのは学園の北側にある棟。そこは文化系の部活動、同好会の為に建てられた場所で俺が所属する同好会もその北棟の最上階にある。


「さて、今日はどんなネタにするかな・・・っと、あれ?苹華だけ?」


 最上階にある一室にいたのは太扶持メガネを掛けた女子生徒。彼女の名前は遠藤苹華(えんどうひょうか)。元気が取柄の女子生徒である。


「うん。さっきまで会長と有栖ちゃんが居たんだけど有栖ちゃんがここで作った大量の不気味人形を手芸部に運んでったよ」


 そして、友人である光臣の彼女だ。


「あら、二人も来たのね」


「・・・・・」


 その直後入室してきたのは腰まである長い髪、大和撫子を印象付ける風貌の女子生徒と腰下まである真っ赤な髪に人形のように無表情な女子生徒。


「お疲れ様です会長」


 黒髪の女子生徒の名前は八代麗(やだい うらら)。この学園の三年で理事長の一人娘。俺たちが所属する同好会の会長である。

 赤髪の女子生徒は俺の妹で若久有栖(わかひさ ありす)。


「どうした有栖」


 無表情ながらもどこか不機嫌な妹。


「わたしの人形が疎開されました」


「有栖さん。疎開ではなく置き場所を変えたと言ってくださいな。あのお人形さん方、この部室の三割を占めるほどに大量生産されていたではありませんか」


「・・・朝は5人ほどしかなかったよね?」


「・・・また授業サボったな」


「・・・・・・」


 指摘されて顔を逸らす妹。コイツ、有栖の趣味は人形の製作である。暇があればひたすらに人形を作っている。その人形が可愛い物であればいいのだが所見の第一印象は不気味の一言。そんな人形を短時間で大量に作ってしまうのだ。ちなみに彼女は同好会の他に手芸部にも所属しているのだが部室のほかに不気味人形保管庫が用意されていたりする。


「・・・ごめんなさい」


「俺も授業中は寝てるからな強くは言えんがな」


「ふふ、有栖さんも反省しているようですし、談笑を始めましょうか」


「あ、お茶の用意します」


 遅くなったが俺たちが所属する同好会の名は談笑会。さまざまな話題を挙げそれをネタに会話する同好会だ。噂、恋愛話、経済、事件、会談などさまざまな話題があるが人によってジャンルの持ちネタの質や量が異なってなかなか面白かったりする。会長は経済や事件など、光臣は噂や会談、苹華は食べ物やファッション、有栖は手芸関係といった感じだ。ちなみに俺は聞く側専門。時折質問したりする程度だ。


「あ、皆さんは最近の事件についてご存知でしょうか」


 しばらく談笑した後、唐突に切り出した会長。光臣と苹華は首をかしげ、俺と有栖は視線だけを彼女に向ける。


「近頃、十代後半から二十台前半の女性の方々が通り魔に襲われているそうです。東京都に近い葉所でご遺体が見つかっているそうですがその場所が日に日に南下しているとのこと。皆さんもくれぐれもご注意してくださいな」


 そう言って彼女は談笑の間に冷め切った紅茶を一口。


「まぁ、その犯人さんも今夜が潮時でしょうけど・・・」


 俺の目を見て小さく微笑むのだった。



下手な文章ではありますが感想お待ちしてます。

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