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Episode:94

「いい質問だ」

 先生も褒めた。


「その点については、いろいろ理由があってね。まぁいちばん大きいのは、人事権を握られていたことなんだが」

「でも学院長のほうが偉いじゃないですか。ダメって言えばいいんじゃないです?」


 ヴィオレイがなおも突っ込む。

 先生が嬉しそうに頷きながら答えた。

「いいところを突いてるよ。ただ、なかなか君の言う通りには行かなくてね」

 そこで一旦言葉を切って、先生は腕組みした。


「気に入らないからと言ってポンポンシステムを変えたら、信頼が無くなってしまうだろう? だからシステムを変えずに、人を変えなくちゃいけない。けれど一度任命した人を急に変えるのは大変でねぇ」

「じゃぁ、そんな人、副学院長にしたのがまずかった?」

 身も蓋も無いヴィオレイの言葉に、先生が笑い出す。


「なかなかハッキリ言うね、君は。だがうん、その通りだ。ただどちらかと言うと今回は、騙されたケースだな。副学院長に任命した当時は良かったんだが、そのあと欲に目がくらんだのか、豹変したんだ」

「あー、お決まりの……」


 ヴィオレイの納得したような声。

 俺もやっと疑問が解けた。あの学院長がなんで反乱なんか起こされたんだろうと思ってたけど、そういうことなら分かる。信頼してた人に裏切られた学院長はショックかもだけど、たしかによくある話だ。


 でもそこまで考えて、俺は引っかかった。先生さっき、「予想はしてたけど」って言ってなかっただろうか?

 気になって訊いてみる。


「先生、だとすると『予想してた』って言うのはなんなんですか?」

「お、君もなかなか目の付け所がいいな」

 褒められた。

 先生がうんうん頷きながら説明しだす。


「予想してたというか、副学院長が自分の派閥を増やしていたのはたしかだからね。だとすると、そのうち主導権を取りにくるだろうとは踏んでいたんだ」

「なるほど……」

 そういう予想なら分かる。けどそうなると、こんな騒ぎを許してるのが分からなかった。


「その……でも人質とか、まずくないですか? 予想してたんなら、なんでそんなこと……」

 上手く言えない。

 でも先生は、俺の言いたいことを察してくれたみたいだ。





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