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Episode:93

「悪かった悪かった、つい愚痴ってしまったね」

「あ、だいじょぶです。けど今の話、ほんとですか?」

 俺の言葉に、先生がちょっと首をかしげる。


「今の話とはどれかな?」

「その、だから教官たちのことです」

 教官がそんなにひどい状態で、なのに何にも知らずにそれに教わってただなんて、ちょっとショックだ。

 だからちゃんと聞きたかった。


「教官たち?」

「あの、だから教官たちが武器の扱いもまともに出来ないって……」

「ああ、そのことか」

 先生がひとつ頷いて、また話し出した。


「実に情けない話だが、本当に出来てなくてね。いや、確かに扱うだけならあれでも何とかなるだろう。だが実戦というのは何が起こるかわからない。だから通り一遍で済むわけがないんだ。ありとあらゆる状況を想定し、それに応じた扱いを覚え、果ては武器を失って敵から奪ったものを使うことまで考えてだな――」

 質問したことをちょっと後悔する。


「だいいちシエラの本校というのは、その辺のMeSとは違うだろう? ならば教官もそれなりの矜持を持って当たらねばならんわけで、だからその人選にも細心の注意を持って当たらないといかんわけだが、その点がどうにも――」

 いつまで続くんだろう?


「センセ、それは分かりましたー。他の質問いいですか?」

 たまりかねたらしく、ヴィオレイが口を挟んだ。

 先生も「質問」って言葉は無視できなかったらしい。話を中断されたのに、嫌そうな顔もしないで答える。


「何だね? 言ってみなさい」

「えーとですね、教官がダメダメなのはわかりました。でもダメダメだって分かってて、どうして止めさせなかったんですか?」

 ヴィオレイの質問、思ってたより鋭い。


「いい質問だ」

 先生も褒めた。


「その点については、いろいろ理由があってね。まぁいちばん大きいのは、人事権を握られていたことなんだが」

「でも学院長のほうが偉いじゃないですか。ダメって言えばいいんじゃないです?」

 ヴィオレイがなおも突っ込む。

 先生が嬉しそうに頷きながら答えた。


「いいところを突いてるよ。ただ、なかなか君の言う通りには行かなくてね」

 そこで一旦言葉を切って、先生は腕組みした。





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