Episode:09
「――え?」
目に入ったもの見て、あたし思わず声上げちゃったの。
だって部屋にあるの、ルーフェの太刀。
もし訓練島へ行ったなら、これを置いてくワケない。ルーフェじゃそんなことありえない。
「どこ、行っちゃったの……?」
よく分かんない。けど絶対おかしい。
ルーフェ、何しろ真面目。だからふらふらどっか遊びに行っちゃったりしない。たまーに任務とかで急に居なくなるけど、そういう時は太刀は必ず持ってくし。
ともかく、ルーフェの身に何かあったのは確か。
――イマド、探さなくちゃ。
ルーフェを探し出すなら、ぜったい彼。何しろルーフェがどこに居ても分かるんだから、ちょっと凄すぎ。
「えっと……」
でも部屋出て男子寮に向かう前に、思いついてシーモアのとこへ。ドアをノックする。
「なんだい――ってナティか。早いけど夕飯でも行くのかい?」
「ううん、そうじゃなくて。えーと、入っていい?」
口ではそう言いながら、返事を待たずに部屋に入った。
「何かあったのかい?」
「それがね……」
部屋で気づいたことを、順番にシーモアに話す。
「太刀が置きっ放しってのは、さすがにあり得ないな」
「でしょ? だから、何かあったんじゃないかなって」
あたしの推理に、シーモアも頷いた。
「あり得るね。探しに行くかい?」
「うん」
じゃぁ、と言って、シーモアが部屋を出て。
ただどこをどう探せばいいかは、ぜんぜんわかんなかった。
「んー、まずやっぱイマドかね」
「かも。彼いれば、ルーフェすぐ見つかるし」
けど、男子寮にイマドは居なかった。
取り次いでくれた人が言うには、部屋どころか寮のどこにもいないみたい。
「調理室かなぁ……?」
イマドが居る確率が高いの、部屋の次がこれ。料理が得意だから、よく調理室で何か作ってる。
ただ、今は居ないんじゃないかな、と思った。
ずっと前は知らないけど、今のイマド、調理室に行くのはルーフェに何か作ってあげるとき。でも肝心のルーフェが居ないのに、わざわざ作るなんて思えない。