表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
87/124

Episode:87

「さ、早くしなさい」

 カーコフ先生が油断なく構えながら言う。

 こっちへ視線を走らせたヴィオレイと一瞬目が合って、俺は頷いた。

 2人同時に走り出す。


「ま、待てっ!」

 ヴィオレイに追いすがろうとした教官の近くへ飛び出す。

「なんだっ?!」

 予想してなかったんだろう、教官の動きが一瞬止まった。そこへカーコフ先生の蹴りが決まる。


「センセ、ナイス!」

「予定と違うんだがねぇ」

 またすっとぼけた口調で先生が言った。


「私の予定じゃ、私がここで存分に大立ち回りして、その間に君たちがどっかへ行くはずだったんだが。これじゃつまらんなぁ」

 さりげに先生、怖いこと言ってるし。


「で、ヴィオレイにアーマル、さっき言ったことは本当なのかな?」

「ホントです、じゃなきゃ俺たち、わざわざ演習島まで来ません」

「だろうな。――やれやれ」

 どういうわけか先生がため息ついた。


 もしかして俺たち、減点とかされるんだろか? それだと俺は成績悪いから、メッチャクチャにヤバイ。

 けど先生の言葉は俺の予想とはぜんぜん違った。


「副学院長がもしかしたら、とは思っていたが、本当にやるとはねぇ」

「先生、知ってたんですか?」

 驚いて訊くと、先生は頷いた。


「知ってたというか、一応予測の中にあった程度だがね。でもまさか、やるとは思わなかったねぇ」

「すご……」

 そういうのを把握してる辺り、さすがカーコフ先生だ。

 けど先生自身はそう思ってないらしい。


「すごかったら、今回のことも未然に止めてるだろうねぇ。だからすごくないな。――で、出来たらいろいろ聞かせて欲しいんだが」

「はい」

 俺たちは話し出した。


 ルーフェイアが居なくなったこと、みんなで探してて講堂に入れられずに済んだこと、イマドが教官たちを引っ張りまわしてること、ルーフェイアは噂の地下牢に閉じ込められてたこと、そして俺たちは船着場のおじさんに教えられて、隠してあった船でここへ来たこと……。

 先生が腕組みして考え込む。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ