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Episode:83

 走りながら考える。

 教官を足止めしなきゃいけないけど、いつものあたしのやり方じゃダメだろう。カンの鋭い教官に、イマドじゃないとバレてしまう。


 魔法と直接攻撃主体のあたしと違って、イマドのやり口はごく単純な罠を組み合わせての撹乱だ。

 ただ、イマドは相手の考えを読んだ上で逆手に取ってくる。そこが真似をするには難しいところだった。


 教官たちの考えは、幸い通話石のおかげである程度分かる。だからそこから考えて、彼のやり方に似せるしかない。

 今の状況だと、イマドなら食堂とは全く違う場所に居るように見せかけて、教官たちを引っ張りまわすだろう。だからそれに近い事をすればいい。


 あたしは大急ぎで教室へ向かった。ほんとうは男子寮のイマドの部屋がいいんだろうけど、ここからじゃちょっと遠い。

 校舎の廊下は真っ暗なうえ、誰も居なかった。ほぼ全員講堂へ集めてしまったから、見回りしかしてないらしい。


 四階にあるいつもの教室へ駆け込んで、あたしは魔法を放った。

「トォーノ・センテンツァ!」

 雷の魔法で一瞬だけ辺りが明るくなる。ほぼ同時に通話石のほうで報告が上がった。


『教室が一瞬明るくなりました。イマド=ザニエスの挑発行為かと』

『B班向かいます』

 あたしは急いで教室を出て、幾つか離れた別のところへ入りなおした。そこで窓を開けて下を確かめる。


 ――誰も居ない。

 これなら大丈夫だ。

 軽量化の魔法を唱えて一気に飛び降りる。そしてすぐに校舎を離れた。


 逃げながら校舎の方を見ると、いつの間にか教室の明かりがついてる。きっとイマドを探してるんだろう。

 通話石からまた会話が聞こえてきた。


『B班到着、教室は空です』

『隠れてるかもしれん、周囲も探せ』

『了解』


 これなら少しは時間が稼げそうだ。

 本当はみんなと合流したりしたいけど、教官たちを放っておいたら戦力差でジリ貧になる。なるべく引っ張りまわして、出来れば1人ずつでも無力化したほうがいい。


 ――なんでこんなことになっちゃってるんだろ?


 ふとそう思った。本当だったらもうとっくに食事を終えて、みんなでお喋りしてる頃なのに……。

 長い夜になりそうだった。






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