表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/124

Episode:07

 どうにか戦力になりそうなのは、一番上の学年のあたしたちくらい。でもAクラス以外は、やっぱり力不足だ。

 しかもそのAクラスも、実質的に戦力って言えそうなのは、実戦経験のあるあたし、イマド、シーモア、ミル、ナティエス、この辺だろうか? でもこれだってかなり甘い見積もりで、実際に使えるのは、あたしとイマドだけじゃないかって気もする。


 そこまで考えて気づいた。

「もしかして、戦力低下狙い……?」

 これだと何となく、筋が通る気がする。


 あたしがよく分からない理由でここへ呼び出されたり、常に連絡がつくはずの学院長と連絡がつかなかったり、何か起こってるのは間違いない。しかもそれが、コントロールしづらい上級生が不在の間に起こってる。

 偶然と言うには出来すぎだ。このタイミングを狙って、と考えたほうがいい。


 そういえば今日は、教官たちもほとんどが訓練島へ行ってて不在のはずだ。いつもの年は行かないムアカ先生も、何故か今年は行くことになったと、診療所を休みにしてた。

 残ってるのはあんまり評判のよくない、嫌なタイプの教官だけだ。いつもの年は下級生に好かれてる先生たちが残るのに、今年はメンバーがぜんぜん違う。


 ナティエスに話を聞きたいな、と思った。彼女はそういう、先生同士の力関係とか生徒同士の勢力図とか、そういう噂に詳しい。だから顔ぶれを見れば、何か情報が出てきそうだ。

 いずれにせよ「何か」起こってるのは確実だから、ここから出られるようにしておいたほうがいいだろう。


 まず錠前を調べてみる。

「あれ、これ……」

 つい声が出て、誰も聞いてないかとあたしは辺りを見回した。けど幸いさっきの教官が出てったきり、人の気配はない。聞いてた人は居なそうだ。


 錠前は、昔からある古いタイプのものだった。これなら開けられる。

 シエラで開錠を教えるのは10年生以上で、あたしたちは新学期からだ。だから本来なら、あたしたちの学年は知らない。


 けどこの学院にはいろんな子が集まってるわけで……中でもスラム育ちのシーモアは、ふつうに育ったら覚えないようなことをたくさん知ってた。開錠の技術もそのひとつだ。

 それをイマドが教わって、さらにこの間あたしが教えてもらって。だからこの程度なら、何とか開けられる。


 もしかしたら魔法でも施錠されてるかもしれないけど、そっちはあたしは前から開けられる。ここじゃ魔力が弱まるみたいだけど、全く使えないわけじゃないから、何とかなるだろう。


 教官も甘いな、と思った。

 もちろん鍵があたしでも開けられる物だったのは、幸運だったってだけだ。でもイザとなったら被害無視で牢ごと壊す方法もあるから、これじゃ完全に閉じ込めたことにはならない。


 あたしを収監したかったのは分かるけど、だったらもっと厳重にしたほうがいいと思う。

 ただ出られるって分かっても、イマドの身の安全が確認できないうちは、動けないのだけど……。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ