表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
66/124

Episode:66

 どっちにしても外が暗くなったし、適当なところで行動を起こしたほうがいいかも知れない、そう思っていた矢先。

 こつん、と何かが音を立てた。


 驚いて辺りを見回す。けど暗くてよく分からない。

 気のせいだろうか、そう思ったとき、今度は何かがあたしに当たった。そしてコツコツっと音を立てて床を転がる。


 ――石ころ。

 当たり前だけど、こんなものが勝手に空を飛ぶわけ無い。何かの弾みで剥がれた天井のかけらが落ちてきたか、誰かが投げ入れたかだ。


 教官の様子を伺う。

 落ちてきた石ころに気づいた様子はなかった。それどころか、なんだかずいぶんそわそわしてる。交代の時間が近いからだろう。


 大丈夫そうだと判断して、あたしは教官に気づかれないよう無詠唱で魔法を発動させた。

 使った魔法は雷系、狙いは鉄格子の外だ。それを石が落ちたのと同じだけ、つまり2回放ってみる。


 ちょっと間を置いて、また石が落ちてきた。今度は2回どころじゃなくて、しかも間が長かったり短かったりだ。

 聞いているうちに、頭の中に文字が浮かび上がる。信号の長短を文字に置き換える通信信号だ。


 前線では光だったり音だったり、いろんな形でこれが使われてた。それと同じだから、考えなくても意味が分かる。


『無事か』

 教官の隙をうかがう。せっかくのチャンスなのに、迂闊な行動で潰したくない。けど教官はこっちなんて全然見張ってなくて、しきりに時計を見たあと階段を上がっていった。


 ――教官があれでいいんだろうか?

 なんだか複雑な気分だけど、居なくなってくれたのは助かる。あたしはすぐに魔法で返した。


『ルーフェイア、無事』

 教官が居なくなってしまったから、かなり大っぴらにやれる。

 またすぐに外から応答があった。


『太刀、いるか』

 外にいるのが誰か分からないけど、あたしのことをよく知ってる人みたいだ。

 ただ何となく、イマドじゃなさそうな気がした。だいいち彼なら、あたしが居るってわかった時点で太刀を放り込んでる。

 シーモアたちかな、そんなことを思いながらまた返した。


『落として』

 窓はかなりの高さがあるけど、魔法で減速させれば受け止めるのは簡単だ。ヘタに他の方法でノロノロ降ろされるより、よっぽど早くて確実だった。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ