表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
64/124

Episode:64

「……もしかすると、地下牢かもしれませんね」

 学院長が考え込みながら言った。


「この学院に、そんなものあったんですか?」

「ええ。何しろここは古いですからね、特にこの管理棟にはいろんなものがありますよ」

 確かにそうかもしんない。なんせあんな隠し通路が縦横に通ってるくらいだ、地下牢のひとつやふたつ、あってもおかしくない。


「じゃぁここの地下牢行けば、ルーフェいるかもしれないってこと?」

「分かりません。けれど見てみる必要はあるでしょうね。というか本当にルーフェイアがそこに閉じ込められているなら、急いで出してあげないと……」

 なんでか、学院長がやけに焦ってる感じだ。


「学院長、あの子ならだいじょぶですよ。万が一教官が手出しても、返り討ちだと思いますし」

「ルーフェじゃそだよねぇ。というかあの子じゃ、牢壊して出てきそう」

「それが怖いんです」

 学院長が言う。


「万が一牢を壊しでもしたら、この建物がどうなるか。崩れないまでも、古い時代のものでけっこう貴重なんですよ。なのに傷が……」

「あー、そっちですか」

 思わずナティと苦笑する。


 たしかにルーフェ、イザとなったら建物のひとつやふたつ平気で壊す。しかもそうなったらそれが重要な国の建物だとか、そんなのは一切お構いナシだ。

 にしても学院長、ちっともルーフェの心配してないのが。


「ともかくそういうことじゃ、学院長、急いで行きません? あの子じゃもういつ動き出すか」

「そだよね。ルーフェって案外思いっきりいいとこあるし」

 ナティの言うとおりだ。


 ただその「思いっきりがいい」ところは、気の毒って気もする。あの子は前線なんてとんでもないとこで育って、出遅れが死に繋がるのをイヤってほど知ってるから、速攻で動くだけだ。だからもし普通に育ってたら、絶対にやらないと思う。

 学院長が手早くお茶のセットを片付け始めた。


「ルーフェイアが仮に地下牢に閉じ込められたとして、何時間経ちましたかね……さすがにもうあの子でも、これ以上は待ってくれないんじゃないかと」

「もうかれこれ数時間だから、もう危ない気が……」

 あの子じゃもっと早く動いたっておかしくないのに、ここまで待っただけでもある意味凄い。


「急ぎましょう、何かあってからでは――」

 学院長がそう言ったとこで、なんか爆発音が響いた。

 思わずみんなで顔を見合わせる。


「持たなかったみたい?」

「だね」

「と、ともかく行きましょう」

 真っ青になった学院長が先に立って、あたしら隠し通路を駆け出した。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ