表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
53/124

Episode:53

「もしもよ? もしも管理棟で、誰も探しに来ない部屋があったら、いちばん安全ってことだよね? だって、まさか入り込むなんて思わないし」

「そゆこと。だから学院長室とか、案外安全な気がするんだがね」

「学院長室か……」

 ナティがまた考え込んだ。


「もしも見つからないで、学院長室まで行けたとして。そしたら仮に学院長が居ても、絶対大丈夫よね。だって学院長、生徒のこと追いかけたりしないし」

「まぁ講堂に連れてかれるくらいは、あるだろうけどね。けど理由くらいは教えてくれるんじゃないか?」

 何となく互いの視線が合って、両方で頷いた。


「行ってみようよ、せめて理由だけでも知りたいもん」

「あたしも今、同じこと考えてたよ」

 冷静に考えりゃ、ずいぶん無謀な話だ。けど行って見つかったからって死ぬわけじゃなし、そう思うと大して怖いとも思えない。


 それに何より、この騒ぎがどうして起こったかくらいは知りたかった。イマドが追っかけられてたことから見て、教官たちが生徒を目の敵にしてる感じだけど、なんでそうなったか見当もつきゃしない。

 けど学院長なら、訊けばきっと教えてくれる。あの人はそういう人だ。


「行こうよ、シーモア」

「慌てなさんな、様子見て捕まらないようにだ」

「そだね」


 茂みから茂み、じゃなきゃ茂みから建物の陰へ、見つからないように少しづつ動く。

 その間、教官の姿は見なかった。たぶんイマドが騒ぎ起こしてるから、そっちへみんな行っちまったんだろう。追っかけ回されてるあいつにゃ悪いけど、このままあたしらが学院長室たどり着くまで、そのまま鬼ごっこしててほしいとこだ。

 ほどなく、あたしらは管理棟にたどり着いた。暗がりに身を潜めて、建物のほうを見る。


「もしかして教官たち、ホントに出払っちゃってる?」

 ナティの言うとおり、管理棟の周囲にも教官の姿は無かった。

 建物も、明かり点いてる部屋のほうが少ない。もうとっくに辺りは暗くなってるわけで、わざと暗闇で行動する練習でもしてるんでなきゃ、明かりつけないでってのはないだろうし。


「まぁ全員ってこた無いだろうけど、でもかなりがどっか行ってんだろね」

 どっちにしても、あたしらには好都合だ。


「行こう」

「うん」

 何がどうなってんのか、それを知りたい一心で、見つかりづらい場所を進む。

 ただ教官たち、よっぽど人手不足だったらしい。入り口の傍まで来ても、まだ人影がなかった。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ