Episode:52
「どこ?」
「講堂のほうかね……?」
ただ暗いのもあって、ハッキリわからない。
「見に行ってみる?」
「行きたいとこだけど、もちっと様子見たいね。よく分かんないけど、なんか見つかっちゃヤバい気が――」
言いかけたとこで何か怒声が聞こえて、藪の中で黙って身をすくめた。
「いたぞ、あっちだ!」
「イマドめ……もう真相に気づいたのか?」
何本もの足がバタバタ目の前通ってくの見ながら、あたしはナティに囁いた。
「イマド、追っかけられてるって言わないか?」
「言うと思う。けどこれで、教官たちが敵なのキマリかも?」
「だね」
イマドと来たら、メチャクチャに要領いいやつだ。だから教官に追っかけまわされるなんてこたぁあり得ない。
それに、教官が言ってた台詞。「真相」ってことは、知られちゃ困る何かがあるわけで。イマドはそこに気づいたと思われて、追っかけまわされてんだろう。
だとしたら教官たちは何か秘密を抱えてて、しかもヤバいことをしようとしてるはずだ。
――何か、は分からないけど。
ここが分かれば一瞬で疑問が片付くんだろうけど、現状尋ねる相手もいないから、すぐにはムリってやつだ。
また他の教官たちが走ってく。
「いっそ、山狩りでもしたほうがいいんじゃないか?」
「そこまで人数が裂けないだろ。まぁ最後は、やるしかないかもしらんが……」
どうやら教官たち、全部敵だと思ってよさそうだ。
「ねぇシーモア、あたしたちもずっとここはマズくない?」
「まずいだろうね、場所移動しよう」
どっか安全地帯見つけないことにゃ、こっちの身も危ない。
「どこ行こうか……」
「いっそ、管理棟とか」
ナティが呆れた声になった。
「シーモア、そこいちばん教官いるとこ」
「まぁ確かにそうなんだけどね」
そこで一旦言葉を切って、あたしは話した。
「けどさ、ナティ、考えてみ? そこに生徒が居るなんて誰も思わないだろ。だから絶対探さないんじゃないかな」
「あ、そういう考え方はあるか……」
意味を理解したナティエスが、よこで考え込む。