Episode:47
「けど先輩、問題じゃないんなら何がダメなんですか?」
「じゃなくてね、問題を作るの」
にっこり笑って先輩が言った。
「問題作るって……?」
「うん、問題作るの。で、教官たち混乱させるの」
「え……」
思いもかけなかった話に、頭の中が真っ白になる。
「問題、問題、作る……」
「あーごめんね、驚かしちゃったか」
先輩に頭を撫でられた。
リティーナは言う。
「いえ、大丈夫です。それで、問題作るってなんですか?」
「うん、このままだと一番の問題は、生徒が人質になってるせいで、学院長が折れちゃうことだよね」
先輩の言葉に頷く。実際には何もされないとわかってても、あの学院長だ。もし子供を殺すと強く脅されたら、仕方なく学院長の座を渡すだろう。
けれど、これは困る。
「絶対、イヤですよね……」
「でしょ。だからね、生徒解放しなきゃ」
「でも、どうやって」
生徒が何かされないよう、動映機と通話石を中に持っていく話はさっき決まった。だからそれ以外のことなのだろうけど、見当がつかない。
「さっき、動映機と通話石の話はしたよね?」
「はい。講堂に持っていくって」
だがそれがどうしたのだろう?
先輩の説明は続いていた。
「だけど動映機と通話石だけだと、教官たちを牽制は出来るけど、追い出せないんだよね」
「そうなんですか?」
てっきり上手く行くと思っていたから、これは予想外だ。
「じゃぁ、どうすれば」
「うん、だから中に入ってみんなを煽るの」
さらりと先輩が、怖いことを言ってのける。
「そ、それ、大丈夫なんですか?」
兄が上級隊なのもあって、リティーナは自分は余りいろんなことに驚かないと思っていたが、思い違いだったようだ。