表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/124

Episode:46

 そして先輩は真っ黒な笑みを浮かべて言った。


「センセ、動映機と通話石、あるよね?」

「通話石は学院長から渡されてるのがあるけど、動影機はどうだったかしら……? 部屋になら、ぜったいあるんだけど」

「んじゃ、センセの部屋にいこー」

 にこにこと言った先輩を先生が止めた。


「ダメよ、この状況で出たら、あなたたちも掴まるでしょ。私が独りで行って取ってくるから、あなたたちは待ってなさい」

「ぶー」


 また先輩がおかしな声を出す。

 でも、今はぜったいに先生の言うことが正しい。先生だけなら「忘れ物」で済むだろうけど、生徒が見つかったら連れて行かれてしまう。


「みんなここで大人しく待ってるのよ。いいわね」

「はーい」

「よろしい」

 最後にちょっとだけおどけて、先生は診療所から出て行った。


 先生が向かった「部屋」は、同じ島内にある教官たち専用の寮だ。ただ島内と言っても学生寮の先で、ここからは島の反対側に近いから、歩いて往復するとけっこうかかる。

 早く戻ってくればいいなと思いながら、リティーナは同室のニネットのベッドに腰掛けた。


「足、下敷きにしないでね」

「うん」

 先生が行ってしまうと、診療所の中はなんだかがらんとした感じだ。どこに何があるか分からないのも手伝って、少し不気味にさえ見える。

 ずっと黙ってたら何だかおかしくなりそうで、リティーナは口を開いた。


「あのね――」

「ねぇねぇねぇねぇ、そこの2人聞いてくれる?」

 言いかけたところで、先輩が横から割り込んできた。


「えっと、何ですか?」

「うん、センセの前じゃ言えなかった、とっておきの話」

 リティーナは思わずニネットと顔を見合わせた。この先輩の「とっておき」は、良くないことの気がする。

 かといって先輩の話は無視できないのが、後輩の辛いところだった。


「とっておきって、何ですか……?」

 本当は聞きたくないなと思いながら、先輩に訊く。

 先輩は以外にも級にまじめな顔になって、リティーナたちに話し始めた。


「さっきも言ったとおり、今このシエラ、副学園長のせいで大変な状態になってるよね」

「はい」

 それは言われなくても分かる。リティーナの知っている限り、こんなことが起こったのは初めてだ。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ