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Episode:43

 先生が驚いた顔で尋ねる。

「あるって、どんな手が?」

「んー、だからえーっと、学院長がいちばん困ること」

「……ミル、人間の言葉じゃないと分からないんだけど」


 口には出さなかったが、ホントにそうだとリティーナも思った。先生が言うようにどこかの知らない言葉を使ってるわけではないが、意味が通じないという点では同じかそれ以上だ。

 だが先輩は気に入らなかったらしく、ぷぅと頬をふくらます。


「ちゃんと説明してるのに」

「あれのどこがよ」

 言い合いが始まる。傍から見ていると、先生と生徒と言うより姉と妹だ。


「だいいちね、学院長を助ける相談をしてるのよ? なのにどうして、困ることをするわけ?」

「えー先生、『する』なんてミルちゃん言ってないー」

 思わぬ方向へ話が転がる。


「言ってないって、言ったじゃない」

「違うってば、学院長が困ることを考えれば、どうすれば分かるって話なの」

「なら最初からそう言いなさい」

 どうやらやっと、話がスタート地点に着いたようだ。

 ムアカ先生に促されて、先輩が話し始めた。


「それで、何をどうするつもりなわけ?」

「だからだから、今いちばんなのは、学院長が困ることでしょ?」

「それはさっき聞いたわね」

 また堂々巡りだ。よくムアカ先生は耐えていると思う。


「で、結局どうするの?」

「だから、学院長が困らなくすれば何とかなるー」


 ここまで聞いても、リティーナには言いたい事がさっぱりだった。何となくぼんやりとは分かるのだが、実際にどうすればいいのか見当がつかない。

 ムアカ先生も同じだったようで、何度目かのため息をつきながら先輩に訊いた。


「大筋は通ってるんだけどね。あなた自分で言ってて、何が『学院長が困ること』か分かってないんじゃない?」

「分かってるってばー」

 また自信満々で先輩が言う。


「じゃぁ言ってみなさいな」

「はーい、じゃぁミルちゃん言いまーす。学院長が困ることって、『学院生』でーす」

 また意味が分からない。


「ミル、さっきも言ったけど、通じるように言ってくれないかしら?」

「ぶぅ」

 先輩が動物みたいな声を出した。





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