表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/124

Episode:04

 ――言いがかり、かもしれない。


 何でそんなことを思ったのかも、教官がそうする理由も分からない。

 けどそう思って、ともかく言うのをやめる。

 もし……もし本当に言いがかりなら、あたしから持っていると言ったら、それこそ利用される。自分で証拠を出すようなものだ。


 それによく考えてみれば、教官はあたしの扱いが色々ふつうと異なることは、ある程度まで知ってる。なのにいまさら言い出すのはおかしい。

 やっぱり、持っていることは今のところ、黙っているほうがよさそうだった。


 少し考えて言う。

「えっと、学院長に……」

 仮にこの教官が知らなくても、学院長はきちんと分かってる。だから学院長に連絡さえ取ってもらえば、すぐ片付くはずだ。

 でも返ってきたのは、予想もしない言葉だった。


「学院長には、連絡できん」

 思わず首をかしげる。


 確かに学院長は、いろいろ用事でシエラを空けてたりする。けど緊急時――シエラは何が起こるかわからない――に備えて、いつも連絡が付くようになってるはずだ。

 なのに連絡できないなんて、ふつうの状態じゃない。


「えっと、病気……ですか? じゃなきゃ、会議とか……」

「お前が知る必要はない」

 あたしの中で警告ランプが灯る。

 具体的に「何が」とは言えないけど、絶対に何かがおかしい。


「ともかく、いいから入れ。上手く行けば、学院長に言っといてやる」

「そんな……」

 自室待機ならまだともかく、こんな理由で収監はさすがに横暴すぎる。

 けど迷って立ち尽くしてたら怒鳴られた。


「早く入らんか! 入らないなら、減点だぞ」

 言ってることがメチャクチャだ。

 教官に従わないから減点、それそのものは分かる。けどあたしが麻薬を持ってるかどうかは、今の時点でちゃんと分かってはないんだろう。そうじゃなかったら、「容疑」なんて言わない。

 どっちにしても、上手く立ち回らないと大変なことになりそうだ。


「早くしろ!」

「――はい」

 気は進まないけど、牢の中へ自分から入る。


「武器は持ってないな」

「持ってません」

 食堂で食事してすぐ戻るつもりだったから、珍しく武器は持ってない。でも今度からは絶対持っていようと内心思った。

 まぁ今回の場合は、持ってても取り上げられるだろうけど……。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ