Episode:20
「んじゃこの太刀渡して、それから演習島か?」
「かな……でもルーちゃん見つかるかな」
「うーん……」
ここが問題だ。イマドが言うとおりなら、どっかの地下にいるんだろうけど、それがどこか分からないし。
「教室あるとこの下になかったっけ?」
「あるけど、あそこじゃ閉じ込められないと思うぞ……」
俺らのクラスがある校舎の地下室は、だだっ広いだけの場所だ。あんな場所にルーフェイアを置いといたら、全力で魔法使ってどっかの扉ぶち破って出てくると思う。
「じゃぁ、どこだろ」
「他にあるんだろうな。図書館か寮か管理棟か――」
自分で言って、あっと思う。
ヴィオレイ
『管理棟!』と俺の声がハモった。
教室の地下にあるんだから、管理棟の地下にあったっておかしくない。
「行って、探してみようぜ」
「待てって、気をつけないと、教官に見つかるぞ」
イマドを追いかけてったから俺ら捕まってないけど、教官たちがああやって見回りしてるくらいだ。ルーフェイアを閉じ込めたとこなんて、もっと厳重なはずだ。
「けどさ、行かないとルーちゃんが」
「そだけど……」
俺とヴィオレイ、どっちの言うことも正しいから困る。早く行って太刀渡さないとルーフェイアは困るだろうし、けど行ったら捕まるってのも事実だし……。
その時ふと、俺は思い出した。
「そーいやさ、さっきイマドのヤツがデルピスと遊んでた岩場。あそこにヘンな話なかったか?」
「話?」
ヴィオレイが考え込む。
「話って……あぁ、あれか。崖の上のほうに穴があるやつ」
「ああ」
なにせこの学院ときたら古いから、7不思議みたいな話もいくつか伝わってる。んでそん中でいちばん有名なやつが、「学校には地下室があって、殺された女兵士が化けてでる」ってヤツだ。
何で有名かって言うと、船着場周辺から島を見上げると、何かの穴が見えるからだ。だからそこが、噂の地下室じゃないかって言われてる。
けど今まで誰も地下室見てない――教室棟の地下はそれなりに知られてるから除外――から、ただの噂だっても言われてる。
けどこうなってみると、その噂もけっこうあり難かった。噂がホントかどうかは別として、まずやらなきゃいけないことが見えてくる。