Episode:02
「わかった、ルーフェが可愛いからだ!」
「違うと思う……」
そんな理由で呼び出されてたら、学院の女子はみんな常に呼び出される。
けど、みんなの考えは違うみたいだった。
「マジそれかも。だったらヤバいよ」
「無視したほうがいいんじゃない?」
なんだかすごい台詞が飛び出す。
「でも無視したら、減点……」
「あー、それはあるか」
学校の決まりを破れば減点は当然だけど、教官から呼び出されたのに応じないともっと減点が大きかった。
「あたしなら行かなけどなー」
シーモアがそう言うミルの頭を小突いた。
「いったぁい!」
「普段から迷惑かけまくりのあんたと、一緒にするんじゃないよ」
「えー、どこがー?!」
聞いてるだけで疲れてくる。
「ルーフェ、行っちゃいなよ。ミルの話聞いてると、キリ無いから」
「うん」
ナティエスの言葉に甘えて、急いでケーキを食べて立ち上がる。
食堂の外も、いつもより人影は少なかった。低学年は少し時間が違うし、高学年は大規模演習で居ない。だから見かけるのは中学年ばかりだ。
こういう感じもいいかな、と思いながら歩いていく。
管理棟も、今日はすごく静かだった。ただ大規模演習にしては、残ってる教官の数が多い感じだ。
そのことをちょっとだけ不思議に思いながら、教官室のドアをノックする。
「ルーフェイア=グレイスです」
すぐにドアが開いた。
「遅かったな」
「すみません……」
やっぱりケーキを全部食べてから来たの、まずかったかもしれない。
「まぁいい。こっちへ」
「はい」
どうなるかと思ったけど、それ以上は咎められずに済む。
教官は振り返りもせずに、先へ歩いてく。そしてちょっと見ただけじゃ分からないような場所の、鍵のかかったドアを開けた。
「あの、ここ……?」
「いいから来なさい」
ドアの先は、下へと続く階段だった。