Episode:18
「理由なんてどーでもいいっての。教官連中が俺を追っかけまわしてて、ルーフェイアのヤツはいねぇ。上級生も不在で、チビどもは静か。こんだけ分かりゃ十分だ」
「十分って……」
首捻る俺に、イマドが講堂を指差した。
「覗いてみろ」
促されるままに開いてる換気窓探して覗く。そして絶句した。
「なんだよこれ……」
中で低学年が並んで座らされてた。列の数からみて、たぶん全員だ。
けど、あり得なかった。
もう授業はとっくに終わってて、そろそろ夕食の時間だ。なのに食堂じゃなくて講堂へ集めてるなんて、非常事態の時しかない。
てか教官たち、あのチビどもにメシ食わせない気なんだろか……?
疲れてんだろう、いちばん小さいチビどもの中には、居眠りしてる姿もある。なのにまだこんなとこに座らせとくなんて、まともな頭の持ち主のやることじゃない。
「何とかしないと……」
言いかけたとき、気配を感じた。
同時に鋭い声。
「誰か居るのか!」
思わず3人で身動き止めたけど、もうバレちまったらしい。
「そこの物陰か? 動くなよ、お前ら」
場所を察した教官がこっち来る。
(……お前ら、その太刀頼むわ)
そう囁いて、不意にイマドが動いた。
大きく目立つように動いて、教官の前へ飛び出す。
「イマドっ!」
追いかけようとしたヴィオレイを、掴んで引き止める。
(ダメだ、隠れてろ)
(けどさ……)
不満そうなダチに首を振る。
教官は、さすがに気づいたらしかった。
「イマド=ザニエスかっ!」
声と一緒に、捕まえようと教官が飛びかかる。
けどイマドは待っちゃ居なかった。ぱっと身をかわして数歩離れる。
「俺を捕まえようってんなら、もちっと早く動かねーと」
嘲り全開って声で、教官を煽ってるし。
「こ、この……」
けどそのときにはイマド、更に数歩先だ。