Episode:17
「ルーちゃん、ここに?」
「いや、そっちじゃねー。チビども」
言いながらイマドが裏手へ行って、俺らも慌てて後に続く。
しばらく講堂の周りを歩く。けどやっぱり、不思議なくらい静かだ。
「どうなってんだ?」
「オレに訊くな」
その時、教官の話し声が聞こえた。
「イマド=ザニエスは、まだ捕まらないのか?」
「申し訳ありません、この島のどこかに居るのは確かなのですが……」
中での様子に、またみんなで顔を見合わせる。
「捕まるとか、オマエなんかしたのか?」
「してねーよ」
イマドがぶっきらぼうに答えた。
「だよなぁ……」
確かにコイツ妙なとこ多いけど、いきなり捜索されて捕まるようなマネはしない。てかメチャクチャ要領よくて、普通なら怒られるような状況でも、何か上手く切り抜けちまう。
その時神妙な顔して、ヴィオレイが言った。
「もしかして、ルーちゃん捕まったんじゃ?」
一瞬の空白。
「ま、待てよ。ルーフェイア、それこそ捕まるようなことしないじゃんか。超優等生だぞ」
「けどさ、なんか学院おかしいし。イマドを捕まえるとか行ってるし。それにルーちゃん、教官に呼ばれてって……」
背中を冷たいものが伝った気がした。
イマドが腕組みして考え込む。
「ルーフェイアのヤツ、まさか地下……か?」
「地下室? そーいや、あるって話は聞いたことあるけど」
なにせこの学院古いから、俺らも全部は知らない。そしてホントかどうかはともかく、ヤバい地下室があるとか、他所へ通じる門――特定場所へワープ出来る――がある、なんて噂まであった。
その中でも地下室は、かなり信憑性の高い噂って言われてる。だからルーフェイアがそこに閉じ込められてるってのも、十分あり得る。
ただ、ひとつだけ解せない部分があった。
「もし閉じ込められてるとして、何でだ?」
オレが疑問を口に出すと、イマドとヴィオレイのヤツが考え込む。
「何でって言われてもなぁ……」
ここがどうしても分からない。
イマドが鼻で笑うみたいにして言った。