Episode:14
◇Armal
「なぁ、ルーちゃんどこに行ったのかな?」
「俺に訊かれても分かんねーよ。つか、早くイマド探そうぜ」
シーモアにナティエスと分かれて俺ら、暗くなった道を歩いてた。
走るのは早々にヤメ。疲れるし。
手には、預かった太刀。
――けっこう、重いんだな。
見た目が華奢に見える武器だけど、手にしてみるとずっしり来る。これを楽々振り回すんだから、ルーフェイアはやっぱ桁外れだ。
「やっぱ気になるな。ルーちゃん探しに行こうかな」
「だからそれ後で」
ヴィオレイのヤツ、さっきから思考が脱線しまくりだ。ルーフェイアのことばっか気にして、すぐどっかへふらふら行きそうになる。
「でもさ、イマドはほら男子だから放っておいていいだろ? だからルーちゃん……」
「イマド探さねーと、ルーフェイアも見つからないって」
「あ……」
ヴィオレイのヤツ、頭ン中ルーフェイアのことばっかで、肝心のこと抜けてるし。
しっかしホント、イマドは変わってる。他人の居場所が分かるとか、人間業じゃない。
何でかはよく知らなかった。でもアイツ、いろいろヘンなとこがあるヤツだから、こういう芸当も出来んだろう。
船着場が見えてくる。
でもギリギリのとこで俺ら、左へ折れた。崖下の岩場伝って歩いてく。
いつの間にか日は完全に沈んで、月明かりの世界になってた。でも今日は月が大きいから、明るくて楽だ。
「あー、やっぱ居た」
暗い海に突き出た黒い岩場の上に、人影があった。
「おーい、イマドー」
「なんだお前ら、2人揃って」
いつもの軽口が返ってくる。
「イマドこそ、こんなとこで何してんだよ」
「んー、あいつらと話してた」
同時に水音立てて、黒い姿が海から宙へ飛び上がる。
「デルピスかー」
「頭いいんだぜ」
確かに俺も、そんな話は聞いたことあった。けど、会話できるとか絶対イマドだけだ。
「あいつら、人間の言葉分かるのか?」
「んー、それとは違うかな。通じるけどな」
なんか余計にワケわかんなくなってくる。