Episode:13
「教官に呼ばれて、それっきりだもんね」
「そこなんだよね……ヘンな目に遭わされてなきゃいいんだけど」
ルーフェったらほんと、自分が美少女だって自覚ないの。危なっかしいったらありゃしない。
まぁさすがに身体に触られる事態になれば、返り討ちに出来るだろうけど。
「教官に呼ばれてそれっきりだから、もしかしてずっと説教されてるとか」
「えー、ルーフェじゃそれはないでしょ」
夏休みが始まる前に宿題終わらせちゃうような子、どこを怒ればいいんだか分かんない。
「どうしよ、とりあえず1回寮戻る?」
「だね。ここでこーしてたってしゃぁないし、もしかしたらルーフェも戻ってるかも」
そうして寮のほうへ歩き出そうとして……シーモアがあたしのことを止めたの。
「どうしたの?」
「こっちだ」
彼女の後ろにくっついて、物陰へと身を隠して。
「ほんとにどしたの?」
「ほら、あれ」
シーモアの指差したのは寮の入り口で、でもなんか、いつもと雰囲気が違った。何でか分かんないけど、何人もの教官が物々しい感じで立ってる。
あといつもと違うのが、下級生が並ばされてるとこだった。
「暗くなってから集合?」
「そりゃおかしいじゃないか。だいいちよほどの事がなきゃ、下級生なんて着替えさせたりしないだろ」
そう言われちゃうと、ちょっと反論出来なかったり。
寮の入り口はその間もてんやわんやで、最後は教官、並べるのは諦めたみたい。何人かの下級生をひとまとめにして、講堂のほうへ連れてってる。
――何がしたいんだろ?
ホントにそこが分かんない。
これから夕食時だって言うのに、下級生を集めて講堂に。そんなことしたら、大騒ぎになっちゃうのが目に見えてるのに。
ともかくそのまま隠れてて、教官と下級生とが行き過ぎるのを待って。
「もういいかね」
「うん」
人影がなくなったのを見計らって、物陰から出る。
「あれ、なんだったんだろ?」
「さぁ? 教官達に直接聞いとくれ」
意味不明の出来事に2人で首捻りながら歩き始めたとき。
「お前達、なんでここに居る!」
あたしたち、後ろから声をかけられた。