Episode:123
話は続いていた。
「じゃぁ次。私たち、なぜここから出られないのかしら?」
「船がないからでしょ」
そのくらい自分だって分かる、そんな顔でヴィルが答える。
だがシェリーは肩を軽くすくめた。
「分かってないわねぇ」
「わ、分かってないってなにさ」
じゃれ合いが始まる。
「分かってないわよ。単にそれだけじゃないでしょ」
「そ、それだけじゃないって、どーゆー意味?!」
傍から見るとケンカ腰に見えることがあるが、彼女たちのやり取りは、いつだってただのじゃれ合いだ。
また肩をすくめて、シェリーが言う。
「ねぇヴィル、何で船がないのかは、まさか分かってるわよね?」
「爆破されたからじゃない」
さすがにこれは即答だ。ただシェリーはそれでは終わらせなかった。
「ご名答。で、爆破したのは誰?」
「教官じゃん」
これもヴィルは即答。だがシェリーの問いはなおも続く。
「じゃぁ、その教官たちは何のために?」
「え……?」
ヴィルが答えに詰まった。
「そ、そりゃ……あたしたちが本島帰ると困るから……」
「はい、よく出来ました。30点」
シェリーの低学年をあやすような言い方に、ヴィルが食ってかかる。
「な、なによその30点って!」
「30点だから30点って言ったのよ。それだけじゃ、とても分かってるとは言えないもの」
どことなく見下したような表情で――わざとなのだが――シェリーが続けた。
「ねぇヴィル、カーコフ先生は誰が首謀者って言ってたかしら?」
「ええっと……」
またヴィルが答えに詰まり、シェリーが冷ややかな表情になる。
「これだもの、だから30点なのよ。 ――いいこと? カーコフ先生はね、副学院長が反乱を起こした、って言ったのよ?」
「あ、そういえば……」
やっと思い出した、そんな表情のヴィルに、シェリーが呆れ顔になる。
「全く。忘れてたの?」
「忘れてないってば!」
一生懸命否定しているが、説得力は皆無だった。ともかくヴィルは、頭を使うことが苦手なのだ。
「じゃぁ忘れてないなら、そこから得られる推論を述べてもらおうかしら?」
意地悪くシェリーに言われて、三度ヴィルが詰まる。
◇お詫び◇
長々と休載する形になってしまい、大変申し訳ありませんでした。
今度はは休載しないよう頑張ります。
ただ当分は、月に2~3回程度の更新になりそうです……。
◇お知らせ◇
GAGAGA(小学館ライトノベル大賞)で最後の最後で落選wしたSFを載せてみました。
なろう内に掲載です。よろしくお願いします
◇あとがき◇
新しい話を読んでくださって、ありがとうございます♪
前作とは一転、みんな揃っての大立ち回り……の予定です
【夜8時過ぎ】の更新です、たぶん。よろしければお付き合い下さい。
感想・評価歓迎です。お気軽にどうぞ