表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
122/124

Episode:122

◇Sylpha


「やれやれ、エライことになっちゃったねー」

 口調ほどには感じてない声で言ったのは、ヴィルシアことヴィル。


「エライことというより、くだらないこと、だと思うわね」

 タシュアに負けない毒舌家のシェリーが酷評する。


「どっちでもいいけど、私部屋に帰りたいなぁ」

 ある意味いちばん妥当なことを言ったのはディオンヌだ。

 3人とも私と同じクラスのうえ上級隊のメンバーで、Aクラスには女子が少ないこともあって、一緒によくいる間柄だった。


「でさ、結局どうなってんの?」

「ヴィル、またあなた話を聞いてなかったのね」

 いつものやり取りが始まる。


 ヴィルは性格も行動も前衛型、敵でも問題ごとでもともかく突っ込んで行って、蹴散らして解決するタイプだ。一方のシェリーは知能型で、物事を理詰めで考えて淡々とこなして成果を出すタイプだった。

 一見水と油の二人だが、これが仲がいいというのだから面白い。

 目の前ではじゃれ合いが続いていた。


「話もなにもカーコフ先生、 ってことと船が無いってコトしか言わなかったじゃん」

「それだけ聞けばわかるでしょうに」

「分かるほうがおかしいよ」

 ヴィルが言い返し、続ける。


「そりゃぁ、今どーなってんのかは分かったよ。でもさ、なんでそんなことになっちゃうわけ? ワケわかんないんだけど」

「分かるわよ」

 シェリーに言い切られて、ヴィルは不満顔だ。


 もっとも頭脳派のシェリーと違って、ヴィルはともかく頭を使うことが苦手だ。テストも筆記は毎回追試、いつだったかは追試の日時まで忘れてしまい、追々試でやっと受かっていた。

 そんな彼女だから、僅かな情報から類推させると大抵途中で行き詰まる。


 ――武器を手に前線出ると、非常に優秀なのだが。

 機転も利くしとっさの判断もいいし、直接戦闘は文字通りトップクラス。あれだけ上手く敵を捌いて分断までするのに、なぜ「お勉強」だけできないのか本当に不思議だ。シェリーはよく


「ヴィルは頭でなくて身体で考えてる」と言うが、本当にそうなのかもしれない。

 まだ「分からない」と言うヴィルに、シェリーが説明を始めた。


「まず、私たちはここから出られない。それは分かる?」

「そのくらい分かるってば」

 ヴィルが仏頂面になる。さすがに馬鹿にされたように感じたのだろう。

 まぁタシュアに負けぬほどの毒舌家のシェリーは、それを承知でわざと言っているのだろうが……。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ