Episode:12
「なんで? お前らがルーちゃん探すんだから、そっちで持ってたほうがいいんじゃないか?」
「そうなんだけど……。でもなんか、持っててもらったほうがいい気がして」
自分でも何でかよく分かんない。けど、そんな気がしてしょうがないの。
「よく分かんねーけど、んじゃ持ってくよ。サイアクでもイマドに渡せば、ルーフェイアの手に行きそうだし」
アーマルが不思議そうな顔しながらも、受け取ってくれて。
「うん、お願い。ルーフェより、イマドのほうが見つかりやすい気がするから」
「あー、それはあるね。んじゃ、ちょっと行ってくる」
アーマルとヴィオレイが走り出す。
夕闇に2人の姿が消えた。
「さて、あたしらも行くか」
「うん。でも、どこ行く?」
これが問題。
ルーフェの行きそうなとこって、実はかなり限られてる。教室、図書館、夕方の訓練島、イマドと一緒に調理室、あとは自分の部屋くらい。
「あの子、行動範囲狭いんだけどねぇ」
「だから心配なんじゃない」
ミルみたいに、いっつもふらふらどっか行っちゃう子なら、心配なんてぜったいしない。というか、ミルなんて心配するだけムダ。
けどルーフェはぜったい、そういう子じゃないわけで……そりゃ、バトルは強いけど。
そこまで思ってはっとする。
「よく考えたら……心配するだけ、ムダだったかも?」
「なんだい急に」
シーモアの呆れ顔。でも当たり前かも。
「さっきまであんたが、やたら心配してたんじゃないのかい?」
「そうなんだけど、よく考えたらルーフェ、危ないことって無いかも……」
大人しくて小柄で華奢で泣き虫だからつい忘れるけど、あの子に危害加えられる人なんて、ほとんどいないはず。その証拠にアヴァンに任務で行ったときも、2回ともあの子だけで、あらかた片付けちゃってるし。
「まぁ確かに、あの子じゃね。寝てたってヘタに近寄れない」
「でしょ」
なんだかちょっと脱力。馬鹿みたい。
「よく考えたらルーフェなんだよね……あぁもう、本気で心配したんだけどな」
自分に腹が立ってきちゃう。あの子が学年主席どころか上級隊並なの、何で忘れてたんだろう?
「けどさ、居ない理由は気になるね」
「……うん」
そこはあたしも同意。黙っていなくなるような子じゃないし。