表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
110/124

Episode:110

「ムチャ言わないでください学院長。というか、連絡取れないんですか?」

「連絡ですか……先ほどの通話石で、誰か出ますかね」

 学院長が思い出したみたいに、通話石いじった。

 あたしたちも耳そばだてながら、黙って隣で待つ。


「――おや、ムアカ先生。これをお持ちでしたか」

 シーモアと2人でガッツポーズ。だってこれでだいぶ違うもの。

 学院長は、ムアカ先生と話してる。


「ええ、何とか無事ですよ。おや、そちらにも生徒が居ますか」

 話からすると、講堂行かずに済んだ子が他にもいるみたい。


「おや、ミルドレッドが講堂に? 連れて行かないほうがいい気がしますが……」

 今度はシーモアと2人で肩すくめた。あの子を連れ込むなんて、教官たち何考えてるのかな。

 というか、どう考えたって自殺行為。ぜーったい引っかきまわされて予定が狂って、ヒドい目に遭うの間違いなし。 


「こちらにも2名ほど居ますよ。助けてもらってます」

 それから学院長、だいぶいろいろ話してから通話を切った。


「何か分かりました?」

「ええ。ただ、予測とあまり違いはありませんね。一部に確証が取れたというだけです」

 そう前置いて、学院長が話し出す。


「騒ぎの首謀者は、残念ながら副学院長で間違いなさそうです。あとあなたたちと同じAクラスは、だいぶ逃げ出してるようですね」

 聞きたかったことが次々と学院長の口から出てきて、ちょっと嬉しいかも。


「そうそう、ルーフェイアも脱獄したあと、ムアカ先生のところに顔を出したようですね」

「わ、やっぱり無事だったんだ!」

 思わず手を叩いちゃった。


 もちろん、あの子に何かあったなんてぜんぜん思ってない。でも「無事」っていう知らせを聞くのって、思ってるだけとは重さがまるっきり違うもの。


「ルーフェイアとイマドが自由に動ける状態では、教官たちは振り回されるでしょうねぇ……気の毒に」

 学院長ったら、なんだか同情してる。

 まぁ言いたいことは分かるんだけど。でも困らされてる相手に同情とか、ちょっと納得いかない。


「でも学院長、あの2人が引きつけてくれたら、相当楽じゃないですか」

 シーモアに訊かれて、学院長が頷いた。


「ええ。ただ演習島から他の教官たちが帰ってくる可能性もあるので、あまり時間はなさそうですね」

「え、それ大変!」

 思わず声が大きくなって、慌てて口を押さえる。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ