Episode:11
「寮は?」
「居なかった」
「じゃぁ調理室」
「そこもハズレ」
2人が考え込んだ。
「どっちも居ないとなると、どこだろな」
「んー、あとは海岸とか……」
ぜんぜん考えてなかった場所が飛び出してきた。
「海岸って、訓練施設の奥の秘密の?」
「あ、そこじゃねーよ。船着場の奥の、岩辿って行けるほう」
そこはあたしも知ってた。滑って危ないから禁止ってなってるけど、けっこうみんな遊びに行く。もちろんあたしも行ったことあるの。
「あんなとこ、あいつ行くのか。知らなかったよ」
「イマド、けっこう行ってるぜ。よくあそこでデルピスと遊んでる」
「へぇ……」
すっごく意外。あいつがそんなのと遊ぶ趣味あるとか、ぜんぜん思わなかった。
デルピスっていうのは、けっこう大きい海の生き物。ぱっと見た感じ魚みたいなんだけど、あたしたちと同じ動物だって話。ちょっとそうは思えないけど。
ただ魚と違って、すっごく頭がいい。漁に使うところもあるって言う。
「これから行くのか? けど、お前らがアイツ探すなんてどーしたんだよ」
「それがね……」
起こったことを話す。
「んじゃ、ルーちゃんが行方不明?」
「そうって決まったわけじゃないけど、なんかちょっと、気になっちゃって」
そう。ルーフェに何かあった、って決まったわけじゃない。でもどうしても気になっちゃう。そのこと話したら、アーマルとヴィオレイがうんうん言いながら頷いてくれた。
「分かる分かる、一度そう思うと、居場所確認するまで落ちつかないよ」
「いやオマエの場合、そういうのルーフェイア限定だし……」
「当たり前じゃないか!」
2人のいつものやり取り。それ見てちょっと笑ったら、なんだか気持ちが落ち着いたかも。
「そしたらあんたら、イマドんとこ行ってもらっていいかな? あたしらまた、ルーフェ探してみるよ」
「ん、分かった」
シーモアにそう答えて図書館出てこうとした2人を、あたし呼び止めた。
「ちょっと待って、あのね、これ持ってって」
ルーフェの部屋から持ち出した太刀を差し出す。