表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
109/124

Episode:109

「カレアナでしたら、事情を話せば少しは出してくれそうですしね」

「学院長……」

 なんだかため息。まぁ学院ってばお金ないから分かるけど、それにしたって。

 そしたら学院長、あたしのこと見て笑って言ったの。


「分かっていますよナティエス、ルーフェイアは被害者だと言いたいのでしょう?」

「です」

 だってルーフェったら、思いっきり巻き込まれ。はっきり言って、何にも悪いことしてない。なのに牢屋壊して請求って……。

 ただあの子お金持ちだから、平気な顔して出しちゃいそうだけど。


「それにしてもルーフェ、どこ行っちゃったのかな?」

 あたしが言うと、シーモアが肩をすくめた。


「分かりゃしないよ、あの子の行き先なんて。だいいちあの子じゃ、島内どこだって行けるだろ」

「確かに……」

 さすがに島外へは出てなそうだけど、あの子じゃ野宿だってへっちゃらだろうし。


「ま、牢から出たなら心配ないさ。上手くやるよ、ルーフェなら」

「そうだね」

 口でそう言いながら、でも意外だったな、と思った。


 何しろルーフェ、大人しい子。教官に逆らうとかあり得ない。だから牢にも入ったんだろうし。なのに逆らって派手に壊して出てくとか……何があったんだろ?

 後で会ったら、絶対訊いてみよう。

 それからあたし、学院長のほう向いて。


「このあとどうするんですか?」

 いちばん肝心なこと訊ねてみた。


 この隠し通路に居る限り、あたしたち安全だと思う。でも逆に言うと、なーんにもしないままってワケで。それはちょっと、面白くないしプライド許さないし。ルーフェほどにはいろいろ出来ないのわかってるけど、ただ隠れてるだけって言うのもつまらないし……。


「そうですねぇ」

 学院長がちょっと下向いて、魔光灯で伸びた影が揺れた。


「いちばんの懸案事項は、低学年の子たちですからね。あの子たちを解放しないと。ただ、そのためには最低限、上級生に帰って来てもらわないとなりませんね。戦力が足りません」


 あたしも学院長の言うとおりだな、って思った。

 講堂の後輩達は、絶対なんとかしてあげなくちゃダメ。ただそれでも、教官たち相手に上手くいくかどうかは微妙。数が多いのは有利だけど、教官たちが本気出したらどの程度かがわかんないし。


 そう考えちゃうとちょっとため息。あたしたち本当に大丈夫なのかな?

 ただシーモアは、そこまで悩んでないみたい。

「そしたら、演習島にでも知らせに行きます?」

 けろっとして、そんな無謀なこと言ってる。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ