悪夢 【月夜譚No.397】
掲載日:2026/04/12
ロボットに追いかけられる夢を見た。もうあと少しで追いつかれると思った瞬間に目が覚めて、飛び起きたベッドの上で彼は大きく息を吐いた。
怖い夢なんて、何年振りに見ただろう。そもそも、最近は何かと忙しくしていて夜はぐっすりだったので、夢自体暫く見ていない。
気持ちが悪いと思ったら、パジャマ代わりのTシャツの背中が汗でぐっしょりと濡れている。ベッドから足を下ろしてTシャツを脱ぎ、着替えを取ろうとクローゼットに目を向けて固まった。
クローゼットのすぐ傍に置いてあるプラスチック製の収納ケース。その上に、ちょこんと座る玩具があった。
彼がまだ幼い頃に買い与えてもらったロボットの人形だ。年月が経って薄汚れ、角も少しばかり削れている。くすんだ目には何も映らないが、どうにもこちらを見ているような気がしてならない。
先日、大掃除をしていて押し入れの奥から出てきたものだ。そういえば、夢に出てきたロボットに似ているかもしれない。
(……いや、まさかな)
彼は首を振り、クローゼットの前に立った。
僅かに首を傾げたロボットが自分を見つめているとも気づかずに――。




