猫が好き2024:猫の国のF級冒険者は最高です
1.猫の国へ
そろそろお迎えかしらとベッドでうとうとしていたら、9匹飼った猫のうち、20歳まで生きたサイが枕の横にいて、生きていた時と同じように体を擦り付けてきた。
「サイちゃん、お迎えに来てくれたの?」
「にゃおん」
「ありがとう、他の子は?」
チャイ、ノワール、ソワール、マリオ、サイ、エドワード、アルフォンス、咲夜、フローレンス
チャイは、ちいさな茶色とベージュの仔だった。親から離されたのが早すぎたのだろうか、家に来て5日目の夜明け、私の布団にもぐってきてため息をひとつついて旅立った。
ノワールとソワールは黒猫兄弟。ソワールは白血病で旅立った。
ノワールがひとりになったので、サイを迎えた。手の平に載るサイズだったサイは、2年で史上最強(当家比)になった。
ノワール、エドワード、アルフォンス、途中でマリオ君が加わり、4匹を従えたサイは集団のアルファとして猫キック・猫パンチ、体重掛け押さえを自在に駆使。自分より体の大きな猫たちを部下にして、大威張りで20歳まで生きた。
最強の戦闘民族にちなんだ名付けがよかったのかもしれない。男盛りの頃は、全身の毛が逆立って大きさが倍にも見えたものだ。
集団が年老いて次第に数が減り、最後にサイが旅立ち、二度と猫は飼わないと決めていたのに。
咲夜は珍しい猫種で、その美しさに一目惚れした。
売れ残っていて、ケージの中から中空を見る目が虚ろだった。とてもそのままにはできなかった。
そのアカンパニーとして、探しに探してフローレンスを見つけた。
ふたりは他猫なのに、鬱気味の咲夜、何も考えない突進型のフローレンスで最上のコンビとなった。キック・パンチの応酬の後、仲直りして舐め合いながら、今も元気に生きている。
私の最後の猫たちは、高貴な姫でツンデレだ。
サイは、生きていた時と同じように、「おかあさん」と呼びかけて頭を擦り付け、一歩・二歩と空中へと昇り、ついて来いと振り返った。
生きてきて一番よかったことと言えば、息子を授かったことだった。その息子を育てる手伝いをしてくれた代々の猫たち。看取るたびに、おかあさんを迎えに来てね、と頼んでいたが、約束を果たしてくれたのだろう。
「うん、今行く」
「にぃやーん!」
「ただいま参ります」
「にゃにゃん!」
「マタタビフィズとキャットニップビールでございますね。
ささみのスープ煮、タイのおさしみ、承りました。
こちら、サービスのビーフ・プチ缶です、どうぞお寛ぎくださいませ」
私は今、猫の国の冒険者ギルドに所属するF級冒険者。
今日の仕事は、酒房「クルーデロ」の客席メイドだ。
前世で王宮や大統領邸にお勤めしていた猫も多く、礼儀作法に厳しい。
2.F級冒険者
サイについてフラフラと白い道を進むと、遠いところに猫が数匹、三角座りをしているのが見えた。
アル! エド! マリ君もいる。え?同じ模様の子?だれ? ノアとソア、ソアの横にいるのは、あれはチャイ。
え? みんななんか大きい?
いや、自分が小さくなっていたのだった。 これは、5歳くらいの時?
幼稚園のスモックを着ている自分に驚きながらも、猫たちのところまでわたわたと進む。
「にゃお」
「うんうん、元気そうだね」
「にやーお」
「もふっていい?」
涙ながらに猫たちに順に抱き着き、頬を擦り付ける。
猫に取り囲まれ、幼い姿のままのチャイを抱き上げて猫の国を歩いた。
ああ、美しいね、うちの咲夜と同じ猫種だ。
アメショーもいる。あの子の模様は特に個性的だ。
あ、白地に茶の水玉。小学校に入るまで一緒に居たタマを思い出す。タマにも会えるかな。
人間もいるじゃない。みんな小さい。そうだよ、猫のお国で暮らすには人間はデカすぎるもん。ここに来るときに小さな姿にしてもらったんだろうな。
木々と草地、そして木造の家々。高級住宅街には、ツリー・ハウスもあるそうだ。
あらゆる場所に猫がいて、時々うちの子たちに声を掛ける。
「人間、呼びに行ってたんだ」
「そうだよ、今日からおかあさんが一緒に住むんだ」
「おお、よかったな」
「うん」
(by猫語自動翻訳機)
踏み固められた土の道を歩いて、長屋が続く場所に着いた。
木造棟割長屋が集まる長屋街に入って二列目、向かって右の端。そこが私の新しい住処になった。
長屋は平屋造り、オープンスペースのひと部屋でロフトになっている。私の為に小さなベッドを置いてくれていた。みんなで稼いで買ってくれたのだそうだ。思わず涙ぐむ。
「みんな、ありがとう! 私も働くよ。みんなお仕事は何やってるの?」
「みやぁー」
話をまとめると、この国では、猫は働かなくてもやっていけるらしい。
ここは天国だから、食べる必要もない。ただのんびり眠って転生の日を待っていてもいい。生前に苦労して、お休みが必要な猫はそうして次の猫生に備えることもある。
でも、うちの猫たちは、働くことを選んだそうだ。冒険者ギルドに登録して、猫街の外へ「ネズミ狩り」に出る。
ネズミを狩って、しっぽをギルドに提出すると、NポイントとCポイントがもらえる。
Nポイントが増えると、冒険者ランクが上がる。
Cポイントは買い物に使える。
うちの子たちは私のベッドの為にこのCポイントを集めることを全員の目標にしてくれたらしい。もう嬉しすぎる。
「おかあさんも冒険者になる!
さあ、いこう、ギルドに連れてって。 Cポイントを稼ぎまくって、ツリー・ハウスに引っ越そう!」
「にゃにゃ?」
「ふふーん、イイコト教えてあげる。
サイがこっちに来た後、おかあさんすっごくきれいな雌猫をふたり、お家に連れて来たんだ」
「にゃんと!」
「すっごい美猫だよ~。
姫君なんだ。公爵令嬢。世界選手権で優勝したおとうさんの娘と、めったにお目に掛かれないゴールド・アイのホワイト・シルバー・タビーなんだよね~。
ツリー・ハウス、用意してあげよう、ね?」
「もちにゃん!」
メインクーンとノルウィージャン・フォレストキャットが大きくなる猫種で、雌ながらここにいる誰よりもデカくて重い(多分、5歳な私の肩に手を掛けて立つと同じくらい)ことは内緒にしておいてあげることにした。ニヤリ
全員で冒険者ギルドになだれ込み、私はF級冒険者になった。
冒険者は、F級から始まり、E,D,C,B,Aと上級になるが、Aまで進むほどこの世界に長く滞在する子はいない。生きる意欲に目覚め、光に包まれて転生していく。
3.F級冒険者のお仕事
お隣の奥さんにチャイを預けて、みんなで働きに出る。
息子猫たちは、パーティーを組んでネズミ狩りに出ている。
サイがチームリーダーで、狩に特別の才能を持っているソワが作戦参謀だ。
ノワとソワ、マリとルイ、エドとアル。3組の兄弟を率いるサイで構成されているチーム“トリプル・ブラザーズ”はすでにB級パーティーで、この界隈では知られた顔だ。
ちなみにルイは、ペットショップでマリオと生き別れになった弟だ。こっちに来たマリが、ソワの力を借りて必死で探し当てたらしい。
ノワとソワは黒猫、マリとルイは白地に黒の水玉、エドとアルはグレーの短毛種である。
サイヤは、キジトラで、猫の原種とも言われるリビアン・キャットに近く生命力が強い。
私は今日も掲示板でF級のお仕事を探す。
1枚の依頼書を剝がし、受付氏に近寄った。人間はこの少年しかいないので、やむを得ない。受付氏もかわいい猫冒険者に来てもらいたいだろうけど、私だって麗しの猫受付嬢がいい。
「すいません、この依頼ですけど。人間限定となってますけど」
依頼は、マタタビの実の採取だ。猫なら誰でも大喜びで受ける依頼だと思うのだが。
「はい、それはですね、猫に依頼すると、帰還できないからなんです」
「は? 巨大ネズミとかでます? 電撃使う黄色のやつとか?」
「いえ。えーっとですね、街の近くの野生のマタタビは焼き払われているんですね。
猫たちが酔っ払ってふらふらしながら帰ろうとするところを、ネズミに逆狩りされるんです。ネズミ生息地でマタタビを与えられて、中毒にされて猫園で飼われちゃうんですよ。
この救出がもう大変で~。猫が行くと同じ事になりますからねぇ、人間の冒険者全員強制参加の大作戦になるんですよ」
なーるほど、わかるわ~
「猫の安全のために、秘密の立ち入り禁止区域に栽培地がありまして、そこで採取をお願いするのですが、実のまま持ち帰っていただくことはできません。
その辺中から猫が集まってきますからねぇ」
ま、そうなるよね!
「依頼主のところで、お酒が入った密閉できる瓶を受け取っていただきます。
そして、このパスカードを持って、栽培地に行き、実をお酒に漬けて必ず密閉して持って帰ってください。
この依頼には猫の護衛を付けられないんですよ。場所が秘密ですから。その代わり、このネズミ除けの護符をお貸しします」
“ぐわははは”と爆笑したい衝動を押し殺して、大真面目に依頼を受けた。
酒房のマタタビ酒が高いわけだよ!
マタタビの栽培地について厳しい箝口令が付いたが、その分依頼料は高かった。
お酒が入った瓶をリュックに入れて背負い、栽培地で実を収穫、管理人さんの指導を受けながら洗い、干して瓶に漬け込み、3泊で無事に帰還した。
猫じゃないもん、マタタビの匂いとかわかんないし! ネズミ除け護符も完璧なお仕事をしてくれた。
なかなかいい依頼じゃないか、ね?
猫じゃらしの採取依頼も受けた。
これも猫に依頼すると帰還できなくなるという。猫が栽培地に行くと、揺れる穂に次から次へと飛びかかり、いつの間にか行方不明になるのだとか。
猫じゃらしは、仔猫のおもちゃとして大きな需要がある。生後1か月以内に名前も付けてもらえないまま儚くなった猫は多く、猫の国ではこの子たちを癒して次の猫生へと送り出すのも大切な仕事である。
その仕事は、孤猫院で人間と成猫が協力して担当している。
ここには猫にはこなせない仕事もある。猫じゃらしは人気の癒しグッズなのだが、仔猫を遊んであげようとしても、自猫の方が夢中になってしまう。
その日は、刈り取ってきた猫じゃらしをリュックに詰めたまま、孤猫院で他の人間と一緒に仔猫と遊んでいた。
猫じゃらしをフルフルと振って、仔猫が後ろ足で立ち上がりかわいいお手々でキャッチするのをほめ、喉をかきかきしているとき、それは起こった。
仔猫はごろごろと喉を鳴らし、目を細めて顎を私の指に擦り付けた。
そして、私を見あげ、微笑んだように見えた。
次の瞬間、光に包まれてすっと空気に溶けていった。
「ああ、無事に転生なさいましたね。おめでとう」
後ろから声が掛かった。
そうか、あれが転生する姿なんだな。
私は手を合わせ、今見送った仔猫が次の猫生で幸せでありますようにと猫の神さまに祈りを捧げた。
4.火鼠
「あのさ、チャイが寂しそうじゃない?」
「う、にゃん」
「やっぱり、ひとりで残すのはよくないかなぁ。
私、当分留守番に回るよ。猫じゃらしのストックもあるし、しばらくチャイと遊んで暮らすかな。
いい?」
「うむにゃん」
息子猫たちから同意を得て、私はチャイと一緒に留守番組になった。
チャイは、最初に我が家に来た猫だ。
濃い茶色からベージュに色が変わる美しい仔猫だ。
ソワによると、ずいぶん長い間孤猫院に居たそうだ。
次の行き先の見当がつかず、迷猫になると長くお国にいるという。
ソワが旅立つ時、私はソワにチャイがいるから、一緒に居てやってねと話しかけた。チャイの写真の前にはいつも花瓶があって、猫たちは花瓶の花を咥えて引っ張り出すのを趣味としていたから、きっとチャイを見分けてくれると思った。
ソワは、お国に来てまず長屋を確保、それから孤猫院巡りをしたという。
「にゃん?」と話しかけても、チャイにはわからなかった。それは当然だ、チャイは家族の最初の猫、誰猫とも面識がなかった。
ソワは辛抱強く通い、私の話をし、家族の話をした。話しかけるうちにだんだん心を開いて、長屋に連れて帰ることができたという。
今も無口で、お国に来た時の仔猫のままだった。ここにいるうちは誰も姿が変わらない。
仔猫過ぎて冒険者登録ができないから、成猫たちが狩りに行く間いつも隣に預けられていた。
隣の奥さんは優しい猫だし友達になれる仔猫たちもいたが、寂しくない訳はなかったのだ。
私はチャイを抱き寄せて一緒にお昼寝をした。
Cポイントで買った高級猫缶をスプーンで口に運んでやり、チャイの前に水を入れた盃を置き、一緒にお茶をいただいた。
猫じゃらしを微妙に操り、気を引いてはジャンプに持ち込んだ。
チャイは少しずつ元気になり、私に抱かれて外出するようになった。
他の兄弟はこれを見てやたらに張り切った。
よし、一番ちっちゃい弟をツリー・ハウスに住まわせてやろう!
嫁はいいのか、嫁は、という私の心の声は、厳重に封鎖させてもらった。いつ来るかもわからない嫁より、今目の前にいる弟を取るとは殊勝ではないか! きっと猫神さまのご加護があるだろう、うん。
サイのパーティー“トリプル・ブラザーズ”は、すごい勢いでNポイントを積んで空前のAクラスになっていた。
Cポイントもかなり溜まっていたが、ツリー・ハウスを手に入れるには足りない。
7匹の息子猫たちは、サイをリーダーに、ソワを作戦担当に、何度も話し合い、大きな仕事に挑戦することにした。
私は止めたかったが、それは立派に成猫した子たちにはふさわしくない。
お守りを縫い、猫神さまに祈りを捧げ、チャイを抱き上げて討伐に出る後姿に手を振った。
それは、壮絶な戦いだったらしい。
チームは、作戦を練りに練った。
ネズミ族の最強種である火鼠は、普段は火山の火口に住んでいる。溶岩を食べ、マグマ溜まりで泳ぐ。
ただ、年に数度、繁殖のために火口から出る。火鼠の熱に普通のネズミは耐えられない。だから、からだを冷やしながらメス鼠を求めて火山を降りる。
巨大な火鼠に見合う大きさのメス鼠はなかなか見つからない。外出は長くなりがちだが、火鼠という本性から、からだが冷え切るほど長く火口を離れることもできない。
ソワは、火鼠の住む火山から火鼠の速度で1日以内に住むすべてのネズミを討伐し尽くすところから始めた。特に体の大きな雌を狙い、数枚の雌ネズミの皮を集めてできるだけネズミに見えるように岩に被せた。何度も岩に騙されてイライラを募らせるように、10個ほども作った。
効果はさほど期待できないが、雌鼠のにおいはする。きっと旅の足は鈍り、その分体温は下がるだろう。
デコイに騙され、さんざん道を外れた火鼠は苛立っていた。
そこをちょろちょろと走り回り、時として爪が届くところまで行けたら、ちょいとひっかいて、ヒットアンドアウエイで更にイラつかせた。
ぐわーん! と立ち上がり、火を吐く火鼠。さっさと逃げるブラザーズ。指揮を執るサイ。
遂に息を吐いても火が出なくなり、カスッと煙が出たところで総攻撃となった。
マグマにも耐える毛皮に、爪で傷をつけられるはずもない。
しっぽを抑えられると前に進んでしまうネズミの習性を利用して、ブラザーズは必死にしっぽを咥えて引いた。
ソアが、火鼠のしっぽの根元にある逆棘に縄を掛け、端を木にぐるぐるとまわして、端っこをぐっと咥えて踏ん張る。
サイが火鼠の背を駆けあがる。
右前腕には、お値段の関係で一個しか買えなかった“ミスリルの爪”が被せられている。
頭に到達し、両手の爪を目に突き立て、深く抉った。
痛みに喚く火鼠、ロープを切られまいと顎にすべての力を注いでしっぽを押さえつけるブラザーズ。サイヤは大きく振られて前へ落とされたが、そこは猫、ひらりと体を捻って着地し、再び背を走る。
今度は右手に全力をこめて、右目に腕まで打ち込んだ。
火鼠が立ち上がって壮絶な死を迎えるまでには、数時間の激闘があったらしい。
もちろん、話は盛に盛っているに違いない。猫が数時間も戦えるとか、誰も信じないが、おかあさんである私だけは信じるのだ!
人間の皮剥ぎ職人に依頼して、火鼠の皮をきれいに剥いでもらった。それはもちろん、ギルドを通じて人間の貴族青年に非常に高く売れたのだった。
彼は今度こそ月から来た姫を手に入れることができるだろう。
*****
参照:かぐやひめ・火鼠の皮衣
5.ツリー・ハウス
私は今、息子猫たちが手に入れてくれたツリー・ハウスに住んでいる。
ツリー・ハウスは、いわゆる貴族街にあり、ハウスとハウスの間は広くとられている。隣のツリー・ハウスには、葬られるときに資産を持たせてもらった貴族の御令嬢猫も住んでおいでだが、うちのように貴種と雑種が混じって住んでいるような“成り上がり”の家は相手にしないそうだ。
猫に変わりがあるものか。資産のあるなしで幸せが変わるわけがない。それこそが彼女たちが転生できないままにツリー・ハウスに住み続けている理由だというのに。
人間が次第に肌の色で差別し合わなくなっているこの時代に、猫は遅れている!
ようやく手に入れたツリー・ハウス。
“トリプル・ブラザーズ”も久しぶりに休みを取り、まったりと過ごした。それぞれのお気に入りの場所で、のんびりとお昼寝を楽しみ、順にチャイをかまっていた。
そんなある日、私の膝に乗って背を撫でられ、サイに舐めてもらっていたチャイが光りはじめた。
「みんな、チャイが旅立つよ!」
ハウスの隅々から7匹が集まる。
「にぁーおん」
「ににに」
「ナン!」
チャイを見つけて、孤猫院から連れ帰ったソワが悲し気に鳴く。
「ふにゃん」
私はチャイの背を撫でながら、話しかける。
「また一緒に暮らそうね。
こんどはうんと長生きして、一緒に散歩して、キャンプも行って、うーんと遊ぼう」
涙が零れ落ち、チャイの柔らかな毛の上で玉になって滑っていった。
最後に目が合ったチャイは、笑っているように見えた。
「いらっしゃいませ、ようこそ。
お席は座布団とクッション、どちらがよろしゅうございますか?」
今日も私は酒房「クルーデロ」で客席メイドのお仕事をしている。
明日は、マタタビ集めの依頼が入っている。
マタタビ栽培所の厳しい管理人に認められ、お茶を出してもらえるようになった。
猫じゃらし採集依頼も絶好調だ。穂の大きさ別に10本ずつ束にして納めるようにすると、獲得Nポイントが少し上がった。
仔猫守に呼んでもらえるようにもなった。息子猫のチャイを無事に送り出したことがギルドに認められたらしい。
F級冒険者の仕事は評価ポイントが低くて、猫たちと一緒にネズミ狩りに出ていく人間冒険者も多い。
でも、私はこれでいい。
毎日猫のお世話をして、とても幸せに過ごしている。
To be continued
This is titled “My Best Job”
Granite
続編は、来年のこの日に!