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勇者

「「勇者?」」


イリエ村の人々が村の集会場に集まっていた。


「おとぎ話でねえか?」


「まさか、この村にそんな偉い人が?」


臨時で村の人たちが集められていた。

王都から来た騎士団長が、情報収集をしているようだった。

明るい金色の髪、空色の瞳‥イケメンってこういう人の事を言うのだろうか。

村の女性たちの目がハートになってる気がする。


「そういえば!最近、フォレスんちに女の子来たよね?」

村人の一人が言った。


「‥でも人間じゃない。猫族だけど?」


ぼくは素直に答えた。

まさか、シオリが勇者なんて有り得ない。

まだ小さい子供だし、女の子だよ?


「一応確認しに行こうか。案内してくれるかな。」


ぼくは仕方なく、家に案内した。


「シオリ帰ったよ。お客様もいるけど‥。」

家のドアを開く。


「おかえりなさい。ご飯できてるよ。」

エプロン姿のシオリは笑顔で出迎えてくれた。


「狭い家だけど、どうぞ。」

ぼくは騎士団長に椅子に座らせる。


「お客様?お茶の方がいいよね。」

シオリはそそくさとお茶を入れて、テーブルに置いた。


騎士団長はシオリを見つめている。


「子供だな。」


「そう言ったでしょう。」


シオリは不思議そうに見つめている。


「お茶有難う、今日はここで城に帰るよ。」


ぼくは騎士団長を見送って、ため息をついた。


「疲れた~。」


「さっきの人は何しにきたの?」


「ん~大したことじゃないよ。」


ぼくは嘘をついた。

本当の事を言えば、シオリがおびえるかもしれない。

そう思ったから。


つい昨日まで、ぼくはこの村でシオリと暮らしていこうって思っていた。

昨日まで。

今日、騎士団長って人が勇者を探しに来るまでは。

シオリが勇者かどうかなんて分からない。

でも、平穏な生活が脅かされるのは嫌だった。


「シオリ君さえ良ければ、一緒にここを出ないか?」


「?」


「イリエ村を一緒に出て行かないかって言ったんだよ。」


「どうして?」


「どうしてって‥。」


本当の事を話したらいいのだろうか。

もし話したとして、シオリはどう思うのだろうか。


「いいよ。私一人だし、フォレスと一緒なの嫌じゃないし。」

どう返答しようかと考えていたが、シオリが了承してくれたので取り合えずいいかな。


「良かった。じゃあ少しずつ準備するね。出発は明後日でいいかな?」


「うん。わかった。」


シオリは年齢の割に賢そうなところがあるので、感づいているのかもしれない。

こればかりは聞いてみない事にはわからないが。


「ここの生活、楽しかったんだけどなぁ…。」

シオリはぼそっと呟いた。


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