表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生魔族は恋をする 〜世界最強の魔王、勇者に殺され現代に転生。学校のマドンナに一目惚れし猛アタックする〜  作者: 白い彗星
転生魔王は青春を謳歌する

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

94/114

りゅーちゃんとあい



「えっと……ボクと鍵沼の関係?」


「あぁ」


 鍵沼から、あいとの昔話を聞いた俺は、その足であいにも話を聞きに行った。

 こういうのは、両者から話を聞かなければならない。たいがいは、どちらかの記憶が都合のいいように捻じ曲げられているものなのだ。


 まあ、この二人のことだし、どうせ鍵沼が大袈裟に話を盛っているんだと思うが。


「鍵沼が言うには、幼少期にお前に散々な目に遭わされたらしい」


「むっ、とんでもない言いがかりだね。ボクはそんなにひどいことなんてしてないよ!」


 ぷんぷん、と怒りを露にするあい。

 そうか、やはりあの話は、鍵沼の捏造だったのだろう。どうせ、被害者は鍵沼でなくあいの方で、それを自分の都合のいいように男女逆転していたというオチだろう。


「あぁ、まあ子供の頃とはいえ、あいがそんな変なことするわけがないよな」


「まったくだよー。

 小さい頃は一緒に木登りしたり、珍しい虫を見せてあげたり、バレンタインなんかには唐辛子入りのチョコまであげたんだから!」


「……」


 ……お?

 なんだか話がおかしい。


「木登り……虫……唐辛子……?」


 おかしいな、全部鍵沼から聞いた話と、一致する部分があるんだが?

 いや、きっと……あれだ。思い出が同じだけで、立場は逆……虫見せたとか唐辛子チョコあげたとか聞こえたが、気のせいだ。


 気のせいだ。


「あい……その話は……?」


「んー? あはは、なんだか恥ずかしいな……ボク、小さい頃は今よりやんちゃっ子でね。よく鍵沼を誘って、木登りしてたんだ。

 あとは、ドッキリしようと思って、プレゼントした箱の中に生きた虫を入れたり……

 バレンタインは、ま、まあ? 幼なじみとして、チョコはあげたんだよ。でもあいつ甘いものは好きじゃないとかいうからさー。考え抜いて、からけりゃイケる! って思ってね」


「……」


 気のせいじゃ……なかった、だと……!?

 鍵沼の話が正しかったどころの話じゃない。こいつ……!


 しかも、タチが悪いのがあいの奴、この思い出を自分の中で『美しい思い出』として保管している!

 今だって、ちょっと恍惚とした表情を浮かべている。全部、良かれと思ってやっていやがる。


 甘かった……どうせ鍵沼の妄想で、あいつに非があるんだと思っていたが……


「ん、なに? なんでそんな『こいつやべえ』みたいな目をしているの?」


「いや、別に」


 子供の頃のものなら、まあ許せる範疇ではある。子供というのは良し悪しの分別はつかない。この辺り、人間も魔族も同じだな。

 問題なのは、あいが……成長した今となっても、あれがまずい出来事だと思っていないことだ。


 ……そんな気はしていたが……


「あいって、お子様だよな」


「な、なにおう!?」


 あ、やべ声に出てた。けれど本音だ。

 心は純粋……かは置いておいて……のまま成長してしまった。それだけ聞くと、なんとも微笑ましい話ではあるが。


 この先が、心配でもある。


「まったく……けど、鍵沼のやつ、ボクのことをそんな風に言っていたのか」


「あっはははー」


 散々な目に遭わされた……という評価なら、それで正しいよ。むしろそれで抑え気味なくらいだよ。

 まずいな、鍵沼とあいに対する見方が変わってしまうぞ。


 そもそも俺はさなが、あいは鍵沼に気がある……と言うから、互いにどう思っているのかを確かめようと思っただけだったのに。

 こんな事実が出てくるなんて予想外だ。


 とはいえ、ストレートに、お前あいつのことどう思ってる……なんて聞くことはできない。

 まあ、意図せず鍵沼からあいに対しての気持ちは、わかったようなもんだが。


「あい、なら逆に、お前は鍵沼をどう思ってるんだ?」


「へ?」


 ……考えようによっては、これはチャンスだ。鍵沼はあいを、散々な目に遇わせたやつ……という話の流れになった。ならば、その逆を聞いても不自然はない。

 あいは鍵沼に対し、どんな感情を抱いているのか。


 俺の質問を受け、あいはパチパチとまぶたを閉じたり開いたりしている。予想もしていなかった質問が来た……とでも思っているのだろうか。

 ……表情に変化はない……か。……いや待て。


「ど、どうって……言ったでしょ、あいつとは腐れ縁だって。

 そ、それ以上でも以下でも、ないよ」


 平静を装ってはいるが……耳が、赤くなっている?

 ……いや、気のせいか。教室の明かりでそう見えただけだろう。


 あいもこう言っていることだし……腐れ縁、幼なじみ以上の関係はなさそうだ。


「そうか、ならいいんだ。おかげでスッキリした」


「……スッキリ?」


「こっちの話だ」


 とはいえ、あいの言葉よりも俺はさなの言葉を信じる。いくら信じられないようなことでも、だ。

 よって、この場ではそれを呑み込んでおくとして、まあまだ経過観察といったところだな。


「しかし、今のあいよりもやんちゃなあいか……なかなか想像できんな」


「ふふん、でしょう。今のボクは、おしとやかだからね!」


「ハッ」


「鼻で笑われた!?」


 おしとやかというのは、さなにこそぴったりな言葉だろう。あいには悪いが、程遠い。

 それに、やんちゃというのも……子供の頃に過度ないたずらをしていたイメージがなかった、というだけで、わりとわんぱくだというイメージは浮かびやすいのだがな。


 こうして話を聞くに、あいは鍵沼を腐れ縁と言ってはいるが、あまり悪い印象ではないように思う。ただ、腐れ縁だからこそ素の自分が出て態度が大きくなったりしてしまう。

 鍵沼はああいう性格だし、まあ売り言葉に買い言葉というやつだろう。

 おまけに、子供の頃のトラウマが今も尾を引いているのだ。


 ……仮に、さなの言う通りあいが鍵沼に対し一定以上の好感を抱いていたとしたら。

 これは、思ったよりも厄介……というか、面倒な関係性になっているのだと思う。

ここまで読んで下さり、ありがとうございます!

もし面白い、続きが見たいと感じてもらえたなら、下の評価やブックマークを貰えると嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ