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転生魔族は恋をする 〜世界最強の魔王、勇者に殺され現代に転生。学校のマドンナに一目惚れし猛アタックする〜  作者: 白い彗星
転生魔王は青春を謳歌する

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ペンギンショーへ



 さなとの水族館、その昼食に俺は、さなの手作り弁当を食べていた。

 どれもこれも、なんとも美味だ……

 これらを、俺のために作ってくれたという事実だけで、涙さえ出そうになる。


 気づけば、弁当箱は空になっていた。


「もう、なくなってしまった」


「夢中で、食べてましたからね……

 嬉しいです」


「ん?」


「その……自分の、作ったものをそこまで喜んで食べてもらえて。

 男の子に作るの初めてだし、変な味だったらどうしようと思ってたんですけど……

 全部食べてもらえて、嬉しいです」


 ……男の子に作るの初めて……だと。

 そうか、そうなのか……


 俺も嬉しい。


「こちらこそ、うまいご飯を食べさせてもらって、感謝だ」


「あはは、真尾くん、やっぱり面白い言い方ですよね」


 こうして、和やかに時間は過ぎていく……

 学校での、あいや鍵沼と共にいる、賑やかな時間も悪くはない。


 だが、さなと二人きりで……静かな空間で、談笑しながら食べる時間。

 これは、なんというか……最高だ。


「では、そろそろ行きましょうか」


「もう、いいのか?」


「はい、休憩は充分です。

 それに……」


 互いに昼食を終え、話を切り上げるとさなは立ち上がる。

 少し恥ずかしそうに、もじもじしながら見ている先には……


「ペンギンショー?」


「は、はい。このあと、向こうでペンギンショーがあるみたいで」


 お知らせのチラシ……それには、ちょうどこのあとの時間帯から、始まるペンギンショーのことが書いてあった。

 なるほど、さなはこれを見たかったのか。


 昼食のために場所を確保し、時間になるまでここで楽しくおしゃべり……その後、目当てのペンギンショーへ。

 任せてとは言われたが、本当にさなは今回のデートプランを深く考えてくれている。


 まさか、ここまでとは……

 嬉しいが、驚きもある。


「あの……子供っぽい、ですかね」


「そんなことはない、行こう。

 さなは楽しみにしてたのだろう?」


「! はい!」


 喜ぶさなの表情に愛らしさを覚えつつ、俺は進む。

 隣り合っていたさなの足が、徐々に俺より先に。

 よほど、楽しみなのだろう。隠しきれていない。


 そんな彼女に置いていかれないよう、俺も歩幅を大きく進めて……

 ペンギンショーが始まる場所を目指す。


「あ、あそこみたいです」


 係員の案内に従い歩いていくと、先に見えるのは外に繋がる扉。

 どうやら、ペンギンショーは外で行うものらしいな。


 周囲も、俺たち以外にペンギンショーを見るために来る者は多く、家族連れやカップル、様々な人たちがいた。


「おぉ、結構人がいるな」


「真尾くん、早く、早く行きましょう!」


「わ、わかったわかった」


 席が埋まってしまう前に、急いで席を確保。

 先ほどの、水槽に囲まれた空間とは違う、開放された空間。外の空気が、心地いい。


 客席は、囲うように設置されていて……その中央に、舞台がある。

 そこで、飼育員が何人か立っている。

 あそこで、ショーが開始されるというわけだ。


 隣に座るさなは、今か今かと目を輝かせて待ちわびている。

 こんなにも物事を楽しみにしている姿も、新鮮で好きだ。

 学校では、決して見れないだろう姿。


 今日は、以前のデートのときのように、俺たちを尾行している影もない。

 存分に、俺も羽根を伸ばして楽しむことができる、というものだ。


「あ、出てきましたよ!」


「あ、あぁ」


 ステージを見ていればわかるが、気分が上昇しているのかさなは俺の服をちょいちょいと引っ張りつつ、逆の指でステージを指す。


 目を向けたステージには、何匹ものペンギンが列を作って入り口から出てきたところだった。

 とてとて、と歩いている。


「キャー、かわいい!」


 そうはしゃいでいるさながかわいい。


「ちっちゃーい! 撫でたい!」


 こうも、興奮する姿を見られるとはな。

 それに、他の客……特に女性は盛り上がっている。


 ああいう小さい生き物、好きそうだものな。


「……」


 だが、正直俺は……ペンギンショーは、あまり見てはいない。

 なんか飛び跳ねたり、泳いだり、餌に食いついたりしているが……

 それより、俺の視線を釘付けにしたのは……


 はしゃいでいる、さなの横顔だった。


「わぁー!」


 とはいえ、ずっと見ていては気づかれてしまうので……気づかれないように、さり気なく、ではあるが。

 ショーが進むたび、さなは身を乗り出したり、拍手をしたりして。


 今回、来てよかったと心から思った。


「はぁー、かわいかったぁ!」


 やがてペンギンショーが終われば、余韻に浸ったさなが頬を撫でていた。

 なんだその仕草は、かわいいな。


 そんな彼女の姿に、自然と自分の頬が緩むのを感じる。


「あっ……ご、ごめんなさい、私ばかり楽しんじゃって……」


「いや、そんなことはない。俺も楽しかったぞ?」


 主に、さなのコロコロ変わる表情を見ているのが。

 だが、そうとは知らないさなは「ですよねー」と頬を緩ませていた。


「ペンギン、かわいかったですよねぇ。触りたかった」


「頼めば、触れるんじゃないのか?」


「このご時世ですから」


 なかなか難しいです、とさなは困ったように笑う。

 俺としても、さなの願いは叶えてやりたいが、こればかりは難しい……か。


「あ、出口に、お土産屋があるんです。行きましょう!」


 立ち上がり、さなは急かす。

 ……お土産、かぁ。

ここまで読んで下さり、ありがとうございます!

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